君臣慶会と紫府の格局:帝王の星には臣下が要る

紫微(しび)は帝王の星です。古書がいちばんよく言うのは「無輔弼同行則為孤君」、つまり左輔・右弼がそばにいなければ孤独な君主になる、という一句です。どれほど貫禄のあるリーダーでも、頼れる人が身近にいなければ事は成りません。このページでは紫微と天府(てんぷ)を中心とする六つの格局を、もっとも有名で、もっとも議論の多い君臣慶会(くんしんけいかい)から順に整理します。

君臣慶会

成格の条件:紫微が命宮に入り、左輔・右弼がともに三方四正にあるか命宮を挟み、三方四正に煞星・化忌がない。

加点と破格:通行本は、煞が見えれば「奴欺主」(家臣が主をあざむく)と呼び、この格局は成り立たないとします。本サイトは、三方四正に六煞星か化忌が一つでも見えれば輔弼拱主として表示します。

出典:「太微賦」に「君臣慶會,材善經邦」、「定貴局」に「君臣慶會 紫微左右同守命是也」、「諸星問答論」に「無輔弼同行則為孤君」

君臣慶会は「リーダーの資質があり、人を使うこともできる」と読みます。自分の考えを持ちながら人の意見にも耳を傾けるので、人を率いる立場に押し上げられやすいタイプです。紫微そのものは体面を重んじ貫禄がありますが、左輔・右弼はその貫禄を実際の成果に結びつける手足にあたります。

これは流派による違いがもっとも大きい格局で、定義は少なくとも五つあります。①『全書』定貴局:紫微・左輔・右弼の三星がそろって命宮に入る。②通行本:紫微が命宮に入り、三方四正に天府・天相、左輔・右弼、文昌・文曲などの吉星が集まり、煞がない。③星林学苑:②に加えて地空・地劫がないことを明記。④iztro:紫微・破軍が命宮で左輔・右弼に挟まれる、紫微・天相が命宮で文昌・文曲に拱照される、天府が命宮で挟まれる、の三式。⑤紫微の三方四正に左輔・右弼、天魁・天鉞、文昌・文曲、三化のいずれかが見えれば成立とする流派。本サイトの主判定は②の核を採り、紫微が命宮に入り、左輔・右弼がともに三方四正にあるか命宮を挟み、煞星・化忌がないこととします。三星が同宮するものは「『全書』の正格」と別に表示します。①を厳密に読むと、紫微・破軍が丑・未にあり、旧暦 4 月か 10 月生まれの人しか成立しえず、きわめてまれです。

本サイトの実測:命盤の約 0.2% が君臣慶会に当てはまります。

例の命盤:新暦 1960 年 4 月 4 日、寅の刻生まれ(庚子年)。命宮は寅で、紫微・天府が入ります。三方四正の吉星と禄・権・科:左輔・右弼・文昌・文曲・禄存・武曲化権。煞星・化忌・陥:なし。

輔弼拱主(ほひつきょうしゅ)

成格の条件:紫微が命宮に入り、左輔・右弼がともに三方四正にあるか命宮を挟む(煞星・化忌が見えるため君臣慶会とは呼ばない)。

出典:「定貴局」に「輔弼拱主 紫微守命二星來拱是也,夾之亦然」、「太微賦」に「輔弼夾帝為上品」

君臣慶会と同じく紫微が左輔・右弼を得ていますが、三方四正に煞星や化忌も見えています。「助けてくれる人はいるが、チームの中に摩擦や消耗もある」と読みます。順風満帆というより、完璧ではないチームを率いることを学ぶ形に近いでしょう。

通行本と星林学苑はこれを独立した格局として挙げず、たいてい君臣慶会に含めています。『全書』は、左輔・右弼の同宮(君臣慶会)と、拱照または挟む形(輔弼拱主)を二つに分けています。本サイトは両方が成り立つときは君臣慶会だけを表示します。

本サイトの実測:命盤の約 2.2% が輔弼拱主に当てはまります。

例の命盤:新暦 1960 年 1 月 10 日、戌の刻生まれ(己亥年)。命宮は卯で、紫微・貪狼が入ります。三方四正の吉星と禄・権・科:左輔・右弼・武曲化禄・貪狼化権。煞星・化忌・陥:擎羊・火星・地劫。

紫府同宮(しふどうきゅう)

成格の条件:紫微・天府が命宮に同宮する(寅・申のみ)。

加点と破格:三方四正に禄存、禄・権・科、左輔・右弼、文昌・文曲、天魁・天鉞が見えれば上。四煞・空劫・化忌が見えれば減点です。『全書』は甲年生まれを最良とします。

出典:「骨髄賦」に「紫府同宮,終身福厚」、『全書』巻三に「紫微天府同宮無殺湊,甲人享福終身」、「太微賦」に「紫微天府,全依輔弼之功」

帝王の星に財庫の星が同宮する、落ち着いて大らかな組み合わせです。舵を取りたい気持ちがありながら、守りも大事にします。家を背負いたいし、財産もきちんと守りたいタイプです。紫府同宮は寅・申にしか現れず、対宮は必ず七殺なので、外からは決断力があり、思いきって決める人という印象を持たれやすいでしょう。

五つの出典で宮の位置は完全に一致しています(寅・申)。違いは吉星を必要とするかどうかだけで、通行本は「吉星も吉化も見えなければこの格局に合わない」とし、星林学苑は寅・申の同宮を基本条件とし、吉星が見えてはじめて貴格と呼びます。本サイトは骨格で判定し、吉星は別に一覧にします。

本サイトの実測:命盤の約 1.5% が紫府同宮に当てはまります。

例の命盤:新暦 1960 年 4 月 4 日、寅の刻生まれ(庚子年)。命宮は寅で、紫微・天府が入ります。三方四正の吉星と禄・権・科:左輔・右弼・文昌・文曲・禄存・武曲化権。煞星・化忌・陥:なし。

紫府朝垣(しふちょうえん)

成格の条件:紫微・天府が財帛宮・官禄宮・遷移宮から命宮を照らす(4 通りの盤式)。

加点と破格:三方四正に吉星・吉化が見えれば上、煞星・化忌が見えれば減点です。

出典:「骨髄賦」に「紫府朝垣,食祿萬鍾」、『全書』巻三に「紫府朝垣活祿逢,終身福厚至三公」

命宮そのものには紫微も天府も入らず、紫微・天府が財帛宮・官禄宮・遷移宮から命宮を照らします。「自分が主導者とは限らないが、身近に力のある人や資源があり、それを借りて伸びられる」と読みます。

通行本と星林学苑はいずれも四式とします。武曲・天相が寅・申、廉貞が単独で寅・申、廉貞・天相が子・午、天相が単独で丑・未(対宮を含めて 8 通りの盤)で、本サイトの検証でも 8 通りでした。「紫微・天府がどちらも遷移宮・財帛宮・官禄宮にある」と広く読むと 10 通り増えますが、そのうち七殺が寅・申のものはもともと七殺朝斗で、どの流派も採っていません。

本サイトの実測:命盤の約 5.7% が紫府朝垣に当てはまります。

例の命盤:新暦 1960 年 2 月 18 日、午の刻生まれ(庚子年)。命宮は申で、武曲・天相が入ります。三方四正の吉星と禄・権・科:左輔・文昌・禄存・武曲化権。煞星・化忌・陥:火星・鈴星。

府相朝垣(ふそうちょうえん)

成格の条件:天府が官禄宮、天相が財帛宮にあり、命宮には天府も天相も入らない。

加点と破格:通行本は、四煞・空劫・化忌が加会すれば破格とします。命宮が寅・申なら『全書』の上格です。

出典:「骨髄賦」に「府相同來會命宮,全家食祿」、『全書』巻三に「府相朝垣千鍾食祿」、『全書』巻三の注に「命寅申,府相在財帛宮、祿官朝者,上格,別宮次之」

天府は財庫、天相は印章の星で、秩序と人情を重んじる二つの星が財帛宮と官禄宮の両側から命宮に向かいます。義理人情を大切にし、品のよさがあり、仕事ぶりは堅実で、目上や同僚から面倒を見てもらいやすいと読みます。

天相はいつも天府から順に数えて四つ目の宮にあり、二星はつねに三合の関係です。そのため府・相が財帛宮と官禄宮に分かれるときは、必ず天府が官禄宮、天相が財帛宮で、逆の盤は存在しません(本サイトで 16,802 枚を検証)。読み方は三通りあります。狭い版(府・相が財官にあり、命宮には府・相が入らない。全 12 通り)、『全書』版(命宮が寅・申なら上格)、広い版(天府か天相が命宮に入っても数える)です。本サイトは狭い版を使い、命宮が寅・申のものを「『全書』の上格」と別に表示します。

本サイトの実測:命盤の約 8.4% が府相朝垣に当てはまります。

例の命盤:新暦 1960 年 1 月 4 日、卯の刻生まれ(己亥年)。命宮は戌で、武曲が入ります。三方四正の吉星と禄・権・科:禄存・武曲化禄・貪狼化権。煞星・化忌・陥:地劫。

極向離明(きょくこうりめい)

成格の条件:紫微が単独で午宮の命宮に入る。

加点と破格:『全書』は甲・丁・己年生まれを上とし、擎羊・化忌が加われば平常に下がるとしています(注に「加刑忌平常」)。

出典:「骨髄賦」に「紫微居午無殺湊,位至三公」、『全書』巻三に「紫微居午無刑忌,甲丁己命至公卿」

紫微は午宮でもっとも輝き、対宮は貪狼です。器が大きくリーダーの風格がありますが、人に任せて手放すことを学ぶ必要がある場面もよくあります。

宮の位置は各派で一致しています。紫微が午なら「三方四正に必ず左輔・右弼が会照する」とする出典もありますが、これは誤りです。左輔・右弼は生まれ月で安星するので、位置は決まっていません。

本サイトの実測:命盤の約 0.9% が極向離明に当てはまります。

例の命盤:新暦 1960 年 3 月 4 日、酉の刻生まれ(庚子年)。命宮は午で、紫微が入ります。三方四正の吉星と禄・権・科:武曲化権。煞星・化忌・陥:地空。

誤解:紫微が命宮に入れば帝王の命。

紫微は帝王の星ですが、古書は「無輔弼同行則為孤君」と言います。紫微が命宮に入る人は、左輔・右弼や吉星があるかどうかを見てはじめて、その風格が形になります。

誤解:府相朝垣の天府と天相は位置を入れ替えてもよい。

構造上ありえません。天相はつねに天府から順に数えて四つ目の宮にあるので、府・相が財官に分かれるときは必ず天府が官禄宮、天相が財帛宮です。

ほかの格局

殺破狼七殺・破軍・貪狼の開拓型の構造 機月同梁安定型の四星が三方にそろう 日月の格局日照雷門・月朗天門・日月並明・反背 明珠出海未宮の空宮を日月が財官から照らす 石中隠玉と巨門の格局巨門の子午・巨日同宮・機巨同臨 陽梁昌禄と天梁の格局試験と文書・善蔭朝綱・寿星入廟 七殺朝斗と雄宿朝元七殺・廉貞・破軍が特定の宮に入る 火貪格と鈴貪格貪狼に火星・鈴星・貪武同行 禄存・四化と吉星の格局禄馬交馳・双禄・三奇・坐貴向貴 凶格羊陀夾忌・馬頭帯剣・命裏逢空など 紫微斗数の格局一覧全格局の一覧+無料チェッカー

率直に言うと:格局は命盤のひとことの要約であって、命盤のすべてではありません

古書は、よく現れて見分けやすい星の組み合わせに名前をつけました。覚えやすく、説明しやすくするためで、それが格局です。命盤の輪郭をすばやくつかむには便利ですが、命盤の吉凶は格局の名前があるかどうかで決まるものではありません。同じ格局でも、三方四正の吉星・煞星・四化が違えば、たどる人生は大きく変わります。当サイトは成格の条件、古書の出典、性格の傾向だけを書き、富貴・貧賤・寿命・健康についての断定はしません。内容は参考・娯楽を目的としたものです。

自分の命盤にどんな格局があるか調べる

新暦の生年月日と出生時刻を入れると、命盤が当てはまるすべての格局、成格の根拠、三方四正の吉星と煞星・化忌を一覧にします。計算はすべてブラウザ内で行います。

君臣慶会と紫府の格局のよくある質問

君臣慶会の条件は何ですか?

流派によって違います。本サイトは、紫微が命宮に入り、左輔・右弼がともに三方四正にあるか命宮を挟み、三方四正に煞星と化忌がない、という条件を採っています。『全書』の原文は紫微・左輔・右弼の三星が命宮に同宮するもので、「『全書』の正格」として別に表示します。

君臣慶会と輔弼拱主はどう違いますか?

どちらも紫微が命宮に入り、左輔・右弼を得ています。本サイトは三方四正に煞星・化忌がないものを君臣慶会、見えるものを輔弼拱主として表示します。

紫府同宮はどの宮に出ますか?

寅宮か申宮だけで、対宮は必ず七殺です。

府相朝垣は多いですか?

本サイトの集計では命盤の約 8.4% が当てはまり、そのうち命宮が寅・申の『全書』上格は約 1.5% です。