十干論:『滴天髄』で読む甲・乙・丙・丁の性質

四柱推命の命式の八つの字のうち、四つが天干です。天干は「木火土金水」を言い換えただけのものではありません。同じ木でも甲は天にそびえる大樹、乙はつる草や草花。同じ火でも丙は太陽、丁は灯火です。明・清以来もっとも重んじられてきた命理の古典『滴天髄』(てきてんずい)は、十の四字韻文で各干の性質と好むもの・嫌うものを描いています。このページは天干という記号そのものを扱います。ある干を「自分」の性格や人生として読むなら、日干(十干)別の性格をご覧ください。

十干の一覧

天干陰陽五行イメージ『滴天髄』冒頭の二句
甲(きのえ)陽木天にそびえる大樹、棟梁になる材木甲木參天,脫胎要火
甲木は天に参じ、胎を脱するには火を要す
乙(きのと)陰木草花やつる草、しなやかで粘り強い植物乙木雖柔,刲羊解牛
乙木は柔なりと雖も、羊を刲き牛を解く
丙(ひのえ)陽火太陽、すべてを照らす火丙火猛烈,欺霜侮雪
丙火は猛烈にして、霜を欺き雪を侮る
丁(ひのと)陰火灯火・ろうそく・炉の火、やわらかく長く続く光丁火柔中,內性昭融
丁火は柔中にして、内性は昭融なり
戊(つちのえ)陽土高い山や城壁、どっしりと厚い土戊土固重,既中且正
戊土は固重にして、既に中にして且つ正なり
己(つちのと)陰土田畑や庭の土、湿り気があって耕せる土己土卑濕,中正蓄藏
己土は卑湿にして、中正にして蓄蔵す
庚(かのえ)陽金刀剣や鉱石、まだ磨かれていない金属庚金帶煞,剛健為最
庚金は煞を帯び、剛健なること最たり
辛(かのと)陰金宝石や装身具、温かみのある繊細な金属辛金軟弱,溫潤而清
辛金は軟弱にして、温潤にして清し
壬(みずのえ)陽水大河や海、流れ続ける水壬水通河,能洩金氣
壬水は河に通じ、能く金気を洩らす
癸(みずのと)陰水雨・露・湧き水、細やかでしみ込む水癸水至弱,達於天津
癸水は至弱にして、天津に達す

五行の読みは木(もく)・火(か)・土(ど)・金(ごん)・水(すい)、陰陽は陽(よう)・陰(いん)です。

総論:五陽と五陰

『滴天髄』の天干篇は、まず陰陽を分けるところから始まります。「五陽皆陽丙為最,五陰皆陰癸為至。五陽從氣不從勢,五陰從勢無情義。」(五陽は皆陽にして丙を最と為し、五陰は皆陰にして癸を至と為す。五陽は気に従いて勢に従わず、五陰は勢に従いて情義無し。)

四柱推命で従格(じゅうかく)が陰干の日干に多いのも、このためです。陰干のほうが命式全体の強い勢いに従いやすいのです。

干合(五合)と干の冲(四冲)

干合化する五行古い呼び名
甲己土中正の合
乙庚金仁義の合
丙辛水威制の合
丁壬木淫慝の合(古い呼び名で、情のひかれ合いを指す)
戊癸火無情の合

陽干は五つ先の陰干と合します(甲と己、乙と庚……)。ただし合しても必ず化すとは限らず、月令と命式全体が化した五行(化神)を支えているかどうかによります。詳しくは化気格をご覧ください。天干にはほかに四つの冲があります。甲庚・乙辛・丙壬・丁癸で、陰陽が同じで五行が剋し合う組み合わせです。戊と己は中央に位置するため、冲には数えません。

天干が年・月・時の柱に出たとき

位置よくある読み方
年干家柄や生まれ育った環境、周囲に与える第一印象
月干学業や仕事の舞台、親きょうだい、社会での役割。月干はもっとも人目につく位置です
日干自分自身(日主)
時干子どもや後輩、晩年、長い目で見た計画や作品

同じ天干でも、どこに置かれるかで語る分野が変わります。たとえば庚金が月干にあれば、職場のルールや重圧として読むことが多く、時干にあれば晩年や長期計画の中の芯の強さとして読みます。各位置の詳しい意味は四柱の宮位をご覧ください。

あなたの日干を『滴天髄』で調べる:原文の条件を一つずつ照合

生年月日を入れると(出生時刻は空欄でもかまいません)、あなたの日干の原文と、条件として書き出せる句があなたの命式で成り立つかどうか、さらに年・月・時干が日干を生むのか剋すのか合するのかを表示します。計算はすべてお使いのブラウザの中で行い、データは送信されません。

新暦(グレゴリオ暦)の生年月日を使い、日付は午後 11 時で切り替えます。「透干(透出)」は年・月・時干に現れていること、「地支に蔵するだけ」は地支の蔵干にだけ現れていることを指します。

よくある三つの誤解

天干は五行の別名にすぎない。

五行は五種類だけですが、陰陽に分けると十干になります。甲と乙はどちらも木なのに、性質はまるで違います。甲はまっすぐ上へ伸び、乙はしなやかに力を借ります。『滴天髄』の十の韻文が描いているのは、まさにこの「同じ五行で陰陽が違う」ことによる差です。

陽干は陰干より強い。

「五陽は気に従いて勢に従わず」は、陽干は自分の考えをもち環境に流されにくいという意味で、強いという意味ではありません。陰干は流れに乗るのが上手で、多くの場面ではかえって身を守りやすいのです。

干合すれば必ず化す。

合は互いに引き合うこと、化には条件が要ります。月令が化神を支え、命式に強く打ち破るものがないことが必要です。たいていの合は「合絆(ごうはん)」、つまり二つの字が互いに引き留め合うだけです。

十干を一つずつ読む

甲木甲木は天に参じ、胎を脱するには火を要す 乙木乙木は柔なりと雖も、羊を刲き牛を解く 丙火丙火は猛烈にして、霜を欺き雪を侮る 丁火丁火は柔中にして、内性は昭融なり 戊土戊土は固重にして、既に中にして且つ正なり 己土己土は卑湿にして、中正にして蓄蔵す 庚金庚金は煞を帯び、剛健なること最たり 辛金辛金は軟弱にして、温潤にして清し 壬水壬水は河に通じ、能く金気を洩らす 癸水癸水は至弱にして、天津に達す

正直なひとこと:古典はひとつの見方であって、判決ではありません

『滴天髄』は明・清以来もっとも重んじられてきた命理の古典のひとつで、十干論では四字一句で各天干の性質と好むもの・嫌うものを描いています。簡潔さが長所であり、短所でもあります。同じ一句でも、歴代の注釈者の読み方は必ずしも一致しません。当サイトでは、条件として書き出せる句だけを命式に当てはめて確かめ、それ以外は原文のまま並べて、吉凶の断定には広げません。当サイトの内容は参考・娯楽を目的としたものです。

あなたの日干は『滴天髄』で何を求めている?

詳しい命式鑑定では、日干の性質と好むもの・嫌うものを命式全体と合わせて、仕事・恋愛・金運など 12 の項目で読み解きます。

十干のよくある質問

十干とはどの十個ですか?

甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)です。甲乙は木、丙丁は火、戊己は土、庚辛は金、壬癸は水に属し、甲丙戊庚壬が陽、乙丁己辛癸が陰です。

『滴天髄』の十干論とは何ですか?

『滴天髄』は明・清以来もっとも重んじられてきた命理の古典のひとつです。天干篇では十の四字韻文で各干の性質と好むもの・嫌うものを描いています。たとえば「甲木は天に参じ、胎を脱するには火を要す」「乙木は柔なりと雖も、羊を刲き牛を解く」といった具合です。

「五陽は気に従いて勢に従わず、五陰は勢に従いて情義無し」とはどういう意味ですか?

陽干は自分の気をもっていて、根があれば環境によって簡単には変わりません。陰干は命式全体の強い勢いに従いやすい性質です。四柱推命で従格が陰干に多く見られる理由のひとつとされています。

干合(天干の五合)はどの五組ですか?

甲己は合して土に化し、乙庚は金、丙辛は水、丁壬は木、戊癸は火に化します。合しても必ず化すとは限らず、月令と命式全体が化神を支えているかどうかによります。

天干と日干はどう違いますか?

日干(日主)は日柱の天干で、自分自身を表します。天干は四柱すべての上の字を指す言葉です。このクラスターは天干という記号そのものを扱っており、ある干を自分の性格として読むなら「日干(十干)別の性格」をご覧ください。