紫微斗数の凶格:古書の忠告であって、判決ではない
古書は凶格をかなり厳しい言葉で描いていて、死傷にまで直接触れる句もあります。本サイトはそうした原文を一切載せません。一つには、昔の断定は今の暮らしにはほとんど当てはまらないこと。もう一つは、命盤は傾向にすぎず、自分を怖がらせるために使うものではないことです。このページでは成格条件と出典、そしてその格局が注意を促している性格と物事への向き合い方の傾向だけを書きます。古書自身が残した救いの説も、あわせて紹介します。
凶格を読む前に、一つの数字を見てください。本サイトの集計では、命盤の約 26.5% に少なくとも一つの凶格があり、もっとも多いのは地空か地劫が命宮に入る形です(約 13.7%)。凶格と吉格は同じ命盤によく同時に現れ、凶格が表すのは気をつけたい部分であって、命盤全体の結論ではありません。各凶格の下に並ぶ「吉星と禄・権・科」が、古書のいう救いにあたります。
羊陀夾忌(ようだきょうき)
成格の条件:禄存が命宮に入り(必ず擎羊・陀羅に挟まれる)、命宮に生年の化忌もある。
出典:『全書』巻三に「羊陀夾忌為敗局」
禄存はいつも擎羊・陀羅に前後から挟まれています。命宮に禄存があり、そこに化忌も重なると、守りたいものが両側から引っぱられる形になります。何事も無理をせず、人間関係のしがらみに縛られすぎないこと、守ろうとするものが本当に守る価値があるのかを先に考えておくことが、この格局の示す注意点です。
五つの出典で条件は一致しており、対宮から化忌が冲する場合を数えるかどうかだけが少し違います。本サイトはそれを「対宮から冲(拡張)」と別に表示します。構造上、各年干に一つの組み合わせしかありません。甲年は太陽が寅、乙年は太陰が卯、丙年は廉貞が巳、丁年は巨門が午、戊年は天機が巳、己年は文曲が午、庚年は天同が申、辛年は文昌が酉、壬年は武曲が亥、癸年は貪狼が子です。『全書』の例「命宮が申、擎羊が酉、陀羅が未」は、まさに庚年の天同です。
本サイトの実測:命盤の約 1.4% が羊陀夾忌に当てはまります。
例の命盤:新暦 1960 年 1 月 28 日、午の刻生まれ(庚子年)。命宮は申で、天同・天梁が入ります。三方四正の吉星と禄・権・科:左輔・文昌・禄存・太陰化科。煞星・化忌・陥:火星・鈴星・天同化忌・天梁(陥)。
馬頭帯剣(ばとうたいけん)
成格の条件:擎羊が子・午・卯・酉の命宮に入り、命宮に主星がない。別に貪狼または天同・太陰が午にあって擎羊が加わる吉の読み「馬頭帯箭」がある。
出典:「太微賦」に「馬頭帶劍,鎮衛邊疆」、『全書』巻三の注に「天同貪羊陀居午位丙戊,鎮御邊疆,為馬頭帶箭」、『全書』巻三・擎羊の注に「午凶卯次之,子酉又次之,馬頭帶劍,吉多勿論」
擎羊は激しい煞星で、子・午・卯・酉の命宮に入ると、気性が激しく行動が果断になります。その勢いを正しい方向に使うこと、人間関係では角が立ちすぎないよう気をつけることが、この格局の示す注意点です。
古書の中でも吉と凶が入り混じる格局です。「太微賦」の「馬頭帯剣、鎮衛辺疆」は吉の言葉で、「骨髄賦」には別に凶の言葉があります(本サイトは引用しません)。本サイトは二式に分けています。貪狼または天同・太陰が午に入り、丙・戊年生まれで擎羊が同宮するものを「馬頭帯箭(吉の読み)」、命宮に主星がなく、擎羊が単独で子・午・卯・酉に入り、三方に吉が見えないものを「擎羊が陥地で命宮に」とします。「定貴局」は「馬頭帯剣とは天馬に刃があること」と書きますが、天馬は寅・申・巳・亥にしか入らず、擎羊はこの四宮に入らないので、二つが同宮することはありえません。この条は今後の検討課題とします。
本サイトの実測:命盤の約 0.2% が馬頭帯剣に当てはまります。
例の命盤:新暦 1966 年 2 月 20 日、酉の刻生まれ(丙午年)。命宮は午で、天同・太陰が入ります(馬頭帯箭(吉の読み))。三方四正の吉星と禄・権・科:天同化禄・天機化権。煞星・化忌・陥:擎羊・火星・鈴星・地空・天同(陥)・太陰(陥)。
刑囚夾印(けいしゅうきょういん)
成格の条件:廉貞・天相が子・午の命宮に入り、擎羊が加わる。別説では天刑と廉貞の同宮。
出典:「太微賦」に「刑囚夾印,刑杖惟司」、「定貴局」に「刑囚夾印 天刑廉貞同臨身命主武勇之人」
廉貞は「囚」、擎羊または天刑は「刑」、天相は「印」です。原則を重んじ、是非をはっきりさせたい性格と読み、法務・監査・規律の求められる仕事に向きます。ふだんの行動では、とくにルールを守ることを心がけたい格局です。
二つの派があります。通行本と星林学苑は擎羊版(廉貞・天相が子・午の命宮に入り、擎羊が加わる)、『全書』定貴局と iztro は天刑版で、しかも『全書』はこれを「貴局」に入れています。本サイトは両方の版を判定します。また天相が化忌となる「刑忌夾印」という説もありますが、本サイトの四化は『全書』版で天相は化忌にならないため、現れません。
本サイトの実測:命盤の約 1.0% が刑囚夾印に当てはまります。
例の命盤:新暦 1962 年 7 月 14 日、未の刻生まれ(壬寅年)。命宮は子で、廉貞・天相が入ります(擎羊版)。三方四正の吉星と禄・権・科:紫微化権。煞星・化忌・陥:擎羊・火星・地空・地劫・武曲化忌。
鈴昌陀武(れいしょうだぶ)
成格の条件:鈴星・文昌・陀羅・武曲の四星がすべて三方四正にある。
出典:「骨髄賦」に「鈴昌陀武」
考えと行動が引っぱり合いやすく、挫折したときに考え込みすぎる傾向があります。難しい局面では一人で抱え込まず、自分から助けを求めることが、この格局の示す注意点です。
原文は運の巡り(運限)についての凶断で、本サイトは引用しません。条件は流派によって違い、星林学苑は武曲が単独で辰・戌に入り、三方四正に鈴星・陀羅・文昌が集まることを求め、iztro は四星がすべて三方四正にあればよいとします。原文の「限至」は実は運限の話で、本命盤に限るとは言えません。本サイトは四星がすべて三方四正にあれば成立とします。
本サイトの実測:命盤の約 1.7% が鈴昌陀武に当てはまります。
例の命盤:新暦 1960 年 2 月 6 日、亥の刻生まれ(庚子年)。命宮は卯で、紫微・貪狼が入ります。三方四正の吉星と禄・権・科:文昌・文曲・天鉞・武曲化権。煞星・化忌・陥:擎羊・陀羅・鈴星。
巨火羊(こかよう)
成格の条件:巨門が命宮に入り、火星と擎羊が同宮または三方四正から会照する。
出典:「骨髄賦」に「巨火擎羊」、「諸星問答論」巨門に「對宮遇火鈴、白虎,無帝壓制……」
巨門は思考と言葉の星で、火星・擎羊と出会うと、気持ちの圧力を内にため込みやすくなります。言いたいことをきちんと言葉にし、気持ちを外に出せる場所を見つけることが、この格局の示す注意点です。
「骨髄賦」の原文は凶断で、本サイトは引用しません。『全書』には断定の言葉しかなく、宮の位置は明記されていません。本サイトは、巨門が命宮に入り、火星・擎羊が同宮または会照すれば成立とします。巨門が陥なら別に注記し、紫微または禄存による制化がある場合も注記します(「諸星問答論」の「無帝圧制」の説による)。
本サイトの実測:命盤の約 0.9% が巨火羊に当てはまります。
例の命盤:新暦 1960 年 4 月 11 日、卯の刻生まれ(庚子年)。命宮は丑で、天同・巨門が入ります。三方四正の吉星と禄・権・科:文昌・文曲・天魁・天鉞。煞星・化忌・陥:擎羊・陀羅・火星・鈴星・天同化忌・天同(陥)・巨門(陥)。
命裏逢空(めいりほうくう)
成格の条件:地空・地劫が命宮に入る(空劫の同宮は巳・亥のみ)、または空劫が命宮を挟む。
加点と破格:通行本は、命宮の主星が廟旺で吉化し、三方にも吉が集まれば「棄之不論」(取り上げなくてよい)としています。
出典:「骨髄賦」に「生逢天空,猶如半天折翅;命中遇劫,恰如浪裡行船」、『全書』巻三に「劫空夾命為敗局」
地空・地劫は、常識にとらわれず、物質を重んじないことを表します。発想が自由で理想を追う傾向が強く、お金は貯まりにくいので、安定した貯蓄の習慣を作ることがこの格局の示す注意点です。この二星は、創造的な人や哲学的な思索を好む人の命盤にもよく現れます。
空劫の同宮は巳か亥にしか現れず(約 1.2%)、空劫が命宮を挟むのも巳・亥を挟む場合だけです(約 2.7%)。通行本の「命宮が子宮と巳宮の場合だけ」という記述は誤りです。一星だけが命宮に入る場合(約 13.7%)も本サイトは表示しますが、これはごくよくある配置です。
本サイトの実測:命盤の約 17.8% が命裏逢空に当てはまります。
例の命盤:新暦 1960 年 10 月 23 日、亥の刻生まれ(庚子年)。命宮は亥で、主星はありません(空劫夾命)。三方四正の吉星と禄・権・科:文昌・文曲・天鉞。煞星・化忌・陥:陀羅。
泛水桃花(はんすいとうか)
成格の条件:貪狼が子の命宮で擎羊と同宮、または亥の命宮で陀羅と同宮。
出典:「太微賦」に「貪居亥子,名為犯水桃花」、『全書』巻三に「貪遇羊陀居亥子,名為泛水桃花」
異性との縁も遊び心も盛んです。恋愛や人づきあいでは節度を保つことが、この格局の示す注意点です。古書自身も、巻三の注に「有吉曜則吉」(吉星があれば吉)と書いています。
「太微賦」は貪狼が亥・子にあればよいとし、巻三と星林学苑はさらに擎羊・陀羅が見えることを求めます。本サイトは巻三の版を採ります。擎羊は亥に入らず、陀羅は子に入らないので、実際には貪狼が子で擎羊が加わるか、貪狼が亥で陀羅が加わるかの 2 通りしかありません。
本サイトの実測:命盤の約 0.1% が泛水桃花に当てはまります。
例の命盤:新暦 1962 年 6 月 8 日、午の刻生まれ(壬寅年)。命宮は子で、貪狼が入ります。三方四正の吉星と禄・権・科:左輔・右弼・文昌・紫微化権・左輔化科。煞星・化忌・陥:擎羊。
風流綵杖(ふうりゅうさいじょう)
成格の条件:貪狼が寅の命宮で陀羅と同宮。別説では天刑と貪狼の同宮。
出典:「太微賦」に「刑遇貪狼,號曰風流彩杖」、『全書』巻三に「貪狼陀羅在寅宮,號曰風流彩杖」
魅力があり人づきあいも活発ですが、恋愛や義理がらみのもめごとを招きやすいので、言葉にも行動にも慎重さが求められます。
巻三は陀羅版(貪狼が寅の命宮に入り陀羅が加わる。乙年のみ)、「太微賦」は天刑版(天刑と貪狼の同宮)です。本サイトは両方の版を判定します。
本サイトの実測:命盤の約 0.8% が風流綵杖に当てはまります。
例の命盤:新暦 1960 年 3 月 8 日、巳の刻生まれ(庚子年)。命宮は戌で、貪狼が入ります(天刑版(「太微賦」))。三方四正の吉星と禄・権・科:武曲化権。煞星・化忌・陥:地空・地劫。
禄逢衝破(ろくほうしょうは)
成格の条件:禄存または化禄が命宮に入り、同宮に化忌・地空・地劫がある、または対宮の化忌に冲される。
出典:「太微賦」に「祿逢沖破,吉處藏凶」、『全書』巻三に「祿逢冲破,吉也成凶」
手に入れた利益が消耗しやすい形です。お金のことも約束も控えめに考え、まだ手元にない資源を先に計算に入れないことが、この格局の示す注意点です。
読み方は流派によって大きく違います。「定貧賤局」は禄が空亡に入りさらに空劫に出会うこととし、通行本は旬空・截空を加え、羊陀夾忌と同じ意味の句とみなす出典もあります。本サイトは現代でよく見られる読み方を採り、禄存または化禄が命宮に入り、同宮に化忌・地空・地劫があるか、対宮の化忌に冲される場合とします。本サイトは旬空・截空を安星していないので、これらは含めません。羊陀夾忌は別に挙げているので、重ねて表示しません。
本サイトの実測:命盤の約 3.4% が禄逢衝破に当てはまります。
例の命盤:新暦 1960 年 2 月 9 日、午の刻生まれ(庚子年)。命宮は申で、主星はありません。三方四正の吉星と禄・権・科:左輔・文昌・禄存・太陽化禄。煞星・化忌・陥:火星・鈴星・天同化忌。
誤解:命盤に凶格があれば運が悪い。
本サイトの集計では命盤の約 26.5% に少なくとも一つの凶格があり、しかも吉格と一緒に現れることがよくあります。凶格は注意点であって、判決ではありません。
誤解:古書に書いてあるとおりのことが起こる。
古書の断定は数百年前の経験をまとめたもので、「有吉則吉」(吉があれば吉)、「離宗成家也吉」(生家を離れて一家を構えればそれも吉)のような救いの言葉がついている句も多くあります。命盤は傾向であり、決めるのは自分です。
ほかの格局
率直に言うと:格局は命盤のひとことの要約であって、命盤のすべてではありません
古書は、よく現れて見分けやすい星の組み合わせに名前をつけました。覚えやすく、説明しやすくするためで、それが格局です。命盤の輪郭をすばやくつかむには便利ですが、命盤の吉凶は格局の名前があるかどうかで決まるものではありません。同じ格局でも、三方四正の吉星・煞星・四化が違えば、たどる人生は大きく変わります。当サイトは成格の条件、古書の出典、性格の傾向だけを書き、富貴・貧賤・寿命・健康についての断定はしません。内容は参考・娯楽を目的としたものです。
自分の命盤にどんな格局があるか調べる
新暦の生年月日と出生時刻を入れると、命盤が当てはまるすべての格局、成格の根拠、三方四正の吉星と煞星・化忌を一覧にします。計算はすべてブラウザ内で行います。
紫微斗数の凶格のよくある質問
羊陀夾忌とは何ですか?
禄存が命宮に入り(必ず擎羊・陀羅に挟まれる)、命宮にさらに生年の化忌がある形です。構造上、各年干に一つの組み合わせしかなく、たとえば庚年なら天同が申です。
命裏逢空は凶格ですか?
古書は地空・地劫が命宮に入る形を凶格に挙げていますが、一星だけが命宮に入る命盤は約 13.7% あり、ごくよくある配置です。本サイトは、理想を追う傾向が強く、物質を重んじず、貯蓄の習慣づくりが大切な形として読みます。
凶格があったらどうすればいいですか?
まず三方四正に吉星や禄・権・科があるかを見てください。古書はそれらが救いになるとしています。次に大限と流年を見ます。本サイトは厄除けや開運の方法は案内しません。命盤は傾向にすぎません。