用神・喜神の見つけ方:まず身強・身弱、次に寒暖・病薬・通関を見る

自分の命式が「五行で水が足りない」と知って、用神は水だと思い込む人は少なくありません。けれども二つは別の問いです。足りない五行は、どのエネルギーが命式の中で薄いかを見るもの。用神・喜神は、命式全体が順調に回るには何が最も必要かを問うものです。足りない五行が、実はいちばん補ってはいけないものということもあります。このページでは用神の五つの取り方を開いて説明し、当サイトの命式エンジンが一段ずつどう計算しているかも、ありのままにお見せします。

用神・喜神・忌神・仇神・閑神:五つの役割

古典では、命式の五行を「全体のバランスに役立つかどうか」で五つの役割に分けます。覚えておくのは一本の線だけで十分です。用神が主役で、ほかの四つはそれを基準に位置が決まります。

役割意味例(用神が水の場合)
用神(ようじん)命式が最も必要とし、全体をバランスに戻す五行水
喜神(きしん)用神を生じ助ける五行。用神の後ろ盾金(金は水を生む)
忌神(きじん)用神を剋し、バランスを崩す五行土(土は水を剋す)
仇神(きゅうじん)忌神を生じ助ける五行。間接的に足を引っ張る火(火は土を生む)
閑神(かんじん)残りの一つ。影響は小さく、組み合わせしだい木

実際の鑑定では、当サイトも含めて多くの場合、用神と喜神をまとめて「用神・喜神」、忌神と仇神をまとめて「忌神」として扱います。理由は実用的なもので、大運や流年が運ぶ五行は天干に一つ、地支に一つと、たいてい二つずつやってくるため、細かく分けすぎるとかえって方向が見えなくなるからです。ですから当サイトで示す用神・喜神は、一文字ではなく二〜三の五行の組になるのが普通です。

「足りないものを補う」ではなぜ間違えるのか

例を挙げます。甲木の日干で、命式に金が一つもない人がいるとします。「五行で足りないもの」という考え方なら、この人は金が足りない。けれども甲木にとって金は官殺(かんさつ)、つまり身を剋し、縛る力です。もともと身弱なら、金を補うのは、すでに荷を背負ってふらついている人の肩に、さらにもう一つ荷を載せるようなものです。

逆もまた成り立ちます。命式に水がすでに少なくない人でも、身弱で同類の支えが必要なら、用神はやはり水になり得ます。足りるかどうかは量の話、喜ぶかどうかは命式全体の必要の話です。まず自分が身強・身弱・中和のどれかを知ってはじめて、何を補うかを語れます。五行で足りないもののページはどのエネルギーが薄いかを扱っていて、自分を知るには役立ちますが、実際に調整するなら用神・喜神を基準にしてください。

用神の五つの取り方

古人の用神の取り方は一つではありません。次の五つの方法は、それぞれ命式の一種類のアンバランスを扱います。右の数字は、当サイトのエンジンで 16,802 枚の命式を実際に計算したとき、その段階が本当に働いた割合です。

扶抑(ふよく)

すべての命式がここから出発

弱きを扶け、強きを抑える。日干が弱ければ、生じ助ける印星・比劫を用い、強ければ、漏らし・消耗させ・剋す食傷・財・官殺を用います。すべての取り方の土台で、ほかの段階はこの上に加減します。強弱の判断は身強・身弱の見分け方をご覧ください。

調候(ちょうこう)

27.8% 必要かつ命式に不足

寒暖燥湿を見ます。冬生まれで水が冷え土が凍っていれば火で温め、夏生まれで火が燃えさかり土が乾いていれば水で潤す。調候は温度だけを見て強弱を見ないので、扶抑の結論とぶつかることがあります。詳しくは調候用神へ。

病薬(びょうやく)

37.0% ある通変星が突出して「病」に

ある通変星が多すぎて手に負えなくなると、それ自体が「病」になり、それを剋し、あるいは漏らして化すものが「薬」になります。病薬は扶抑を覆すことがあり、本来補うべきものでも、多すぎて害になれば忌神に回ります。詳しくは病薬用神へ。

通関(つうかん)

7.0% 二つの力が拮抗して争う

二つの勢力が拮抗して互いに剋し合い、命式全体が綱引きで膠着している状態です。このときは両者のあいだに挟まり、相剋を相生に変えられる五行を仲裁役として取ります。詳しくは通関用神へ。

従格・専旺

0.8% 従格と判定

日干が弱すぎて根も印星もない、あるいは強すぎて漏らすものも剋すものもない場合、いっそ最も強い勢いに従い、喜忌をそっくり反転させます。判定はとても厳しく、ほとんどの人は従格ではありません。各五行の従格のページは身強・身弱の下にまとめています。

当サイトのエンジンは五つの段階をどう重ねるか

五つの方法にはそれぞれ理がありますが、結論が食い違ったときにどれを採るかが難しいところです。当サイトは順序を固定し、しかも各段階をすべて開示しています。

  1. まず従格の関門を通す。確かな証拠だけを認めます。命式に少しでも根や印星があれば、通常の強弱論に戻します。従格に見えても証拠が足りないものは「疑似従格」と表示し、人による再確認をすすめます。
  2. 扶抑で土台をつくる。身強・身弱・中和に応じて、まず喜と忌の組を決めます。
  3. 調候を重ねる。「必要で、しかも命式に足りない」ときだけ用神・喜神に加えます。命式にすでに十分な火や水があれば、別に補いません。調候が求める五行がたまたま扶抑の忌神なら、グレーゾーンとして表示します。少しなら補ってよく、できれば大運・流年で自然に巡ってくるのを待つのが理想です。
  4. 病薬を重ねる。病薬が成り立てば、薬を用神・喜神の先頭に置き、病は用神・喜神から外して忌神に回します。
  5. 通関は提示のみ。争いが本当に日干を傷つけているかは命式全体で見る必要があり、エンジンが代わりに決めるべきではないので、喜忌を直接は変えません。
17.7%総合結果が「身強・身弱だけで見た場合」と異なる
9.3%調候が扶抑にない五行を加える
10.1%病薬が扶抑にない薬を加える
1.6%もとの用神・喜神が病薬で忌神に反転

集計方法:当サイトのエンジンで 1960〜2005 年の毎日一枚ずつ命式を出し(時刻は順に入れ替え)、計 16,802 枚を集計しました。命式の構造の分布であり、だれかの運の良し悪しを示すものではありません。

言いかえれば、身強・身弱だけで用神・喜神を取ると、およそ 6 人に 1 人は何かを取りこぼし、少数ながら避けるべきものを補うべきものと取り違える人もいます。当サイトが結論を一つ示すだけでなく、各段階が働いたかどうかとその理由まで書き出すのはそのためです。

あなたの用神・喜神を調べる:各段階の計算をすべて開示

新暦の生年月日を入れると、扶抑・調候・病薬・通関・従格の五つの段階が、それぞれ働いたかどうかとその理由がわかります。計算はすべてお使いのブラウザの中で行い、データは送信されません。

新暦の生年月日と出生地の時計の時刻(日本なら日本標準時)で計算し、日付は夜 23 時で切り替えます。旧暦の生年月日や真太陽時の補正が必要な場合は、トップページの命式作成をご利用ください。

実際の命式で一通りたどる

同じ五行を、扶抑は要らないと言い、調候は要ると言う。こうしたケースは珍しくありません。

冬生まれで身弱の癸水

1960 年 1 月 16 日・卯の刻生まれ(新暦)

年柱己亥
月柱丁丑
日柱・日干癸卯
時柱乙卯
  1. 従格か:日干の癸水は、年支の亥(壬水を蔵す)にも月支の丑(癸水を蔵す)にも根があり、従格ではありません。
  2. 扶抑:日支・時支の卯木二つに時干の乙木が加わり、食傷が身を強く漏らします。月令の丑土と年干の己土は官殺です。全体に消耗が扶助を上回り身弱と判定、喜は金・水(印星・比劫)、忌は木・火・土です。
  3. 調候:丑月はちょうど晩冬で天は寒く地は凍り、命式には月干の丁火が一つあるだけで、寒に偏っているため火で温める必要があります。ところが火は身弱の癸水にとって財で、扶抑では忌神に入っています。
  4. 結果:火を用神・喜神に入れますが、グレーと表示します。少量にとどめ、無理に大きく補わないこと。最終的に喜は 金水火、忌は 木土です。

扶抑だけで見る人は火に触れてはいけないと言い、調候だけで見る人は最も火を補うべきだと言います。どちらも半分しか当たっていません。二つの段階を並べてはじめて、「火は要る、でも多くは要らない」という実態に近い答えが見えてきます。

よくある三つの誤解

用神・喜神は一文字だけで、一生それだけを守ればよい。

用神・喜神はたいてい二〜三の五行の組です。命式の用神・喜神は生まれた瞬間に決まりますが、大運は 10 年ごと、流年は 1 年ごとに替わり、運ばれてくる五行が違えば、感じる順調さや逆風も変わります。運勢を見るとは、まさに「この時期に巡ってくるのが自分の用神・喜神かどうか」を見ることです。

用神が火なら、毎日赤い服を着て、部屋を赤い小物で埋めるべきだ。

色・方角・アクセサリーは効き目の弱い補助で、気持ちの面での働きが大半です。本当にてこになるのは仕事の方向とやり方で、五行の補い方・漏らし方のページに詳しくまとめています。

どの鑑定師が出しても用神・喜神は同じはずで、違うならだれかが間違えている。

流派が違えば重視する段階も違います。扶抑だけを見る人もいれば、調候を優先する人もいます。『子平真詮』系統でいう「用神」は月令の格局のことで、ここで扱うものとは別物です。違う答えに出会ったら、どちらが正しいか争うより、相手がどの方法を使ったのかを尋ねるほうが役に立ちます。

用神・喜神がわかったら、どう使うか

用神・喜神の最も実用的な使い道は三つあります。運を見る:大運・流年が用神・喜神を運んでくれば流れに乗って進め、忌神を運んでくれば守りに回ってリスクを減らす。方向を選ぶ:仕事・環境・組む相手を、用神・喜神の性質に寄せる。生活を整える:生活リズム・習慣・人付き合いで、用神・喜神を多く取り入れ、忌神は控えめにする。

ただし「木が喜神」の意味は人によって違います。身弱の木の日干にとって木は仲間と自信ですが、身強の土の日干にとって木は規律と役職です。あなたの用神・喜神の五行を選んで読み進めてください。

用神・喜神が木成長と計画:仲間、学び、あるいは枠組み 用神・喜神が火熱と舞台:見てもらうこと、寒い命式を温めること 用神・喜神が土土台と信用:安定、蓄積、受け止める力 用神・喜神が金構造と決断:ルール、仕組み、きっぱり切ること 用神・喜神が水流れとつながり:交流、移動、暑い命式を潤すこと

正直なひとこと:用神・喜神は方向であって、保証ではありません

用神の取り方は、命理の中で最も意見が分かれるところです。同じ命式を三人の先生に見せて三通りの答えが返ってくるのも珍しくありません。当サイトはルールをはっきり書き、各段階をすべて開示して、答えがどう導かれたかを見えるようにしています。結論だけを渡して信じてもらうやり方はとりません。四柱推命は精密科学ではなく、当サイトの内容は参考・娯楽を目的としたものです。用神・喜神が示せるのは調整の方向で、道を歩くのはあなた自身です。

どの年にあなたの用神・喜神が巡ってくる?

用神・喜神は出発点にすぎません。出生情報をすべて入れると、詳しい命式鑑定で大運を一段ずつ並べ、どの 10 年が用神・喜神の運で、どの 10 年が守りに向くかを、流年とあわせて示します。

用神・喜神のよくある質問

用神・喜神はどうやって調べますか?

まず日干が身強・身弱・中和のどれかを判断し、扶抑の喜忌を決めます。次に、生まれた季節と命式の寒暖から調候が必要か、ある通変星が多すぎて「病」になり薬が要るかを見ます。このページの診断ツールはこれらの段階を一度に計算し、各段階が働いたかどうかとその理由を示します。

用神・喜神と「足りない五行」はどう違いますか?

足りない五行は量の話で、どの五行が命式に出ていないか、弱いかを見ます。用神・喜神は必要の話で、命式全体がどの五行によってバランスするかを見ます。足りない五行が用神・喜神とは限らず、たとえば身弱の甲木に金が足りなくても、金は身を剋す官殺で、補えばかえって苦しくなります。

用神・喜神は変わりますか?

命式の用神・喜神は生まれたときに決まり、年齢で変わることはありません。変わるのは大運と流年が運ぶ五行で、用神・喜神の運に入れば物事が進みやすく、忌神の運では守りに回るのが向いています。用神・喜神は固定でも、運の順逆は時とともに浮き沈みします。

サイトによって用神・喜神が違うのはなぜですか?

いちばん多い理由は流派と取り方の違いです。扶抑だけを見るもの、調候を優先するもの、病薬や通関も考えるものがあります。出生時刻が正しいか、子の刻で日付をどう切り替えるか、真太陽時の補正をするかでも結果は変わります。当サイトは各段階の判断を開示しているので、どこで違いが出たかを比べられます。

用神と喜神は何が違うのですか?

用神は命式が最も必要とする一つの五行、喜神は用神を生じ助ける五行です。大運や流年はたいてい二つの五行を同時に運んでくるため、実際には両者をあわせて「用神・喜神」として見るほうが正確です。