東洋の星宿と西洋の星座:空でどう見つけるか

同じ夜空を見ても、西洋の人はオリオン座やさそり座、はくちょう座を思い浮かべ、古代中国の天文家は参宿や心宿、天津を見ていました。二つの体系は区切り方も名前も違いますが、指している星は同じことがよくあります。日本でも奈良のキトラ古墳の天井に二十八宿が描かれ、すばる(昴)や織姫・彦星のように東洋の名前が今も生きています。対応関係と目印になる星をいくつか覚えれば、外に出て空の大半を見分けられるようになります。

今夜の星空:いま頭の上に何があるか

日付・時刻・場所を選ぶと、その瞬間の全天星図を描き、月、惑星、高く昇っている明るい星、そして真南に南中している二十八宿を表示します。西洋の星座と中国の星官の線を切り替えられます。計算はすべてお使いのブラウザの中で行います。

星表:ヒッパルコス星表の 5 等星までの約 1,600 個(d3-celestial から整理、BSD ライセンス)。月と惑星は簡易計算で位置の誤差は 0.3° 以内、大気差は考慮していません。

二つの体系、空の分け方

西洋の星座中国の星官
現在の基準国際天文学連合(IAU)が 1922 年に 88 星座を定め、1930 年に境界を公表三国時代の陳卓が石氏・甘氏・巫咸の三家をまとめ、よく知られる整理では 283 官・1,464 星
分け方地図の行政区のように全天を 88 の区画に分け、どの星もどれかの星座に属する一つの星官は小さな星のまとまり(1 個から数十個)で、全天を覆ってはいない
大きな枠組み季節ごと、黄道十二星座三垣(天の北極のまわり)+二十八宿(黄道・天の赤道沿いに一周)
名前の由来多くはギリシャ神話と大航海時代の新しい星座天上の朝廷・市場・官職で、地上の社会を映したもの
主な用途空の区画の名前、観測天文学日月五星の位置の記録、暦づくり、天象による占い

ひとことで言えば、西洋の星座は「区画」、中国の星官は「星の形」です。そのため一つの西洋の星座に星官がいくつも入っていることが多く、オリオン座には参宿と觜宿が、さそり座には房宿・心宿・尾宿があります。

同じ星、二つの名前

西洋の名前中国の名前季節見つけやすい理由
シリウス(おおいぬ座)天狼冬夜空でいちばん明るい恒星
ベガ(こと座)織女一(織姫星)夏夏の大三角でいちばん明るい角
アルタイル(わし座)河鼓二(彦星・牽牛星)夏両側に小さな星を一つずつ従え、天秤棒で荷を担いだ形
アンタレス(さそり座)心宿二(大火)夏とても赤く、南の低い空にある
オリオン座の三つ星参宿一・二・三冬同じ明るさの三つの星が一直線に並ぶ
北斗七星(おおぐま座)北斗春に最も高いひしゃくの形
ポラリス(こぐま座)勾陳一(北極星)一年中ほとんど動かず、いつも真北にある
プレアデス星団(おうし座)昴宿(すばる)冬小さな星がぎゅっと集まっている

日本には独自の和名もあります。オリオン座の赤いベテルギウスを「平家星」、青白いリゲルを「源氏星」と呼ぶ地方があり、清少納言は『枕草子』で「星はすばる」と書きました。

ゼロから星を覚える三つのステップ

1.「あの明るい星」が惑星かどうか確かめる

夕方いちばん最初に見える明るい「星」は、金星か木星であることがよくあります。惑星はまたたきが少なく、数か月かけて星座の間を移動するので、星座早見盤には載っていません。上のツールで惑星の位置がわかります。

2. 大きな目印から始める

一年を通していちばん役に立つのは北斗七星(北極星と春の星をたどる起点)。冬はオリオン座、夏は夏の大三角とさそり座、秋はペガススの大四辺形です。まず目印を見つけてから、星から星へたどっていきます。

3. 季節と時刻を合わせる

地球の自転で星空は 1 時間に 15° ずつ西へ回り、公転によって同じ星は 1 か月に約 2 時間ずつ早く昇ります。「冬の星空」とは冬の夜 8〜9 時ごろの空のことで、同じ星を夏に見るなら明け方になります。

中国の空の骨組み:三垣と二十八宿

中国の天文家は、天の北極のまわりを星の垣根で囲まれた三つの区域に分けました。紫微垣は天帝の宮殿、太微垣は朝廷、天市垣は市場です(三垣)。太陽と月が通る帯は二十八に区切られ、二十八宿と呼ばれます。これを方角ごとに東方青龍・北方玄武・西方白虎・南方朱雀の四組にまとめたのが四神で、キトラ古墳や高松塚古墳の壁画でおなじみの四神は、もとはこの星の区分でした。

各月 15 日の夜 9 時(台北)南中している宿(真南)四神
1月畢宿(ひつしゅく・あめふりぼし)西方白虎
2月井宿(せいしゅく・ちちりぼし)南方朱雀
3月鬼宿(きしゅく・たまおのぼし)南方朱雀
4月張宿(ちょうしゅく・ちりこぼし)南方朱雀
5月軫宿(しんしゅく・みつかけぼし)南方朱雀
6月亢宿(こうしゅく・あみぼし)東方青龍
7月心宿(しんしゅく・なかごぼし)東方青龍
8月箕宿(きしゅく・みぼし)東方青龍
9月牛宿(ぎゅうしゅく・いなみぼし)北方玄武
10月危宿(きしゅく・うみやめぼし)北方玄武
11月壁宿(へきしゅく・なまめぼし)北方玄武
12月婁宿(ろうしゅく・たたらぼし)西方白虎

当サイトの星空エンジンで計算。各宿を距星の赤経で区切り、台北の夜 9 時に真南にある宿を調べました。ここで効くのは緯度より「地方時」なので、東京で夜 9 時に見ても、ほぼこの表のとおりです(日本標準時は東経 135° が基準なので、東京では夜 9 時より 15 分ほど早い時刻がこの表にあたります)。

よくある三つの誤解

二十八宿は 28 個の星のこと。

一つの宿は星のまとまりで、2〜3 個から井宿の 8 個まであります。そのうちの 1 個を「距星(きょせい)」とし、そこから宿の範囲を測ります。「角宿一(スピカ)」のような番号つきの名前はここから来ています。

彦星は牛宿に、織姫星は女宿にある。

彦星はアルタイル(わし座の河鼓二)、織姫星はベガ(こと座の織女一)で、どちらも黄道から遠く離れています。二十八宿の牛宿はやぎ座に、女宿はみずがめ座にある、とても暗い宿です。

誕生日の月には、自分の星座が夜空に見える。

逆です。誕生日のころは太陽がその星座の方向にあるので、星座は太陽と一緒に昇り沈みして昼の光に埋もれます。夜空の高くに見えるのは半年ほど後です。しかも歳差のために、占いの星座の日付は実際に太陽がいる星座からほぼ一つ分ずれています(黄道の星座)。

さらに詳しく

二十八宿四神ごとに七宿、距星と見つけ方 四神青龍・白虎・朱雀・玄武 三垣紫微垣・太微垣・天市垣 北斗七星北極星の探し方、ひしゃくの柄と季節 黄道の星座空の星座と占いの星座 春の星空春の大曲線、しし座、スピカ 夏の星空夏の大三角、織姫と彦星 秋の星空ペガススの大四辺形、フォーマルハウト 冬の星空オリオン座、冬の大三角

正直に言うと:ここで扱うのは天文で、吉凶ではありません

このテーマで扱うのは、実際に空に見える星のことです。どの方角にあり、どの季節に見え、東洋と西洋でそれぞれ何と呼ぶか。暦注の「今日の宿」、宿曜占星術、テレビの星占いの十二星座、紫微斗数の星は、どれも星の名前を借りていますが別の計算体系で、その夜の空の星とは対応していません。当サイトの内容は参考・娯楽を目的としたものです。

中国の暦は空を見ることから始まった

北斗七星のひしゃくの柄で月を決め、太陽の位置で二十四節気を決めました。四柱推命の年・月・日・時の干支は、この暦の上に組まれています。生年月日を入れて、あなたの四柱を出してみましょう。

東洋の星宿と西洋の星座のよくある質問

西洋の星座と中国の星官はいくつありますか?

西洋は IAU の 88 星座です。中国はよく知られる陳卓の整理で 283 官・1,464 星あり、中でも有名なのが三垣と二十八宿です。

東洋と西洋の星座は一対一で対応しますか?

しません。西洋の星座は全天を 88 の区画に分けたもので、中国の星官は大きさがまちまちな小さな星のまとまりです。ふつうは一つの西洋の星座に星官がいくつも入っていて、たとえばさそり座には房宿・心宿・尾宿があります。

街中でも星座は見えますか?

街明かりの下では、ふつう 2 等星くらいまで見え、北斗七星・オリオン座・夏の大三角なら十分わかります。星座の形を全部たどるには、郊外や山へ行く必要があります。

今夜はどの宿が南中していますか?

このページの「今夜の星空」ツールで、日付・時刻・場所を選ぶと、全天星図を描き、真南にある宿を表示します。