鑑定方法:KnowYourBaZi はどう命式を作成し、どう用神を取るか
同じ生年月日を三つの四柱推命サイトに入れると、三通りの用神が返ってくることがよくあります。たいていは誰かが計算を間違えたのではなく、流派の設定と用神の取り方のルールが違うのです。子の刻の何時に日が替わるのか、身強・身弱をどんな物差しで測るのか、調候を扶抑より優先するのか。一つひとつの選択が結論の向きを変えます。このページでは当サイトの選択をすべて書き出しました。ほかの情報源と比べることも、自分で検算することもできます。
一、命式の設定
四柱と二十四節気の節入り時刻は、オープンソースの暦ライブラリ lunar-javascript で計算しています。計算はすべてお使いのブラウザの中で行われ、生年月日がサーバーに送られることはありません。結果に影響する設定は次のとおりです。
| 項目 | 当サイトの扱い | 理由と影響 |
|---|---|---|
| 年柱 | 立春で年が替わる(旧暦の元日ではない) | 四柱推命の一年は節気の一年です。1 月末〜2 月初めに生まれた人は、ここで年柱が丸ごと一つずれやすくなります。 |
| 月柱 | 十二の「節」で月を区切る(立春、啓蟄、清明……小寒) | 旧暦の月ではなく、中気も使いません。節入りの当日に生まれた人は、節入りの時刻で決まります。 |
| 子の刻の日替わり | 23:00 で日が替わる:23:00〜23:59 生まれの「夜子時」は、日柱を翌日で取る | 午前 0 時を過ぎてから日が替わるとする流派もあります。違いは 23 時台の一時間だけですが、日干が丸ごと入れ替わります。入力フォームの時刻の選択肢で早子時と夜子時を分けているのはこのためです。両派の違いは早子時と夜子時で解説しています。 |
| 出生時刻がわからない | 年・月・日の三柱だけを出す | 強弱の判定は行いますが、エンジンが「時柱なし、参考程度」と注記します。時柱の天干は重み 1、地支は 1.5(さらに蔵干の比率を掛ける)なので、欠けるとスコアは実際に偏ります。 |
| 真太陽時(しんたいようじ) | オプション。チェックを入れたときだけ補正 | 補正は三段階です。歴史上の夏時間(現地のタイムゾーン記録による。日本の 1948〜1951 年の夏時間も含む)、出生地の経度とタイムゾーンの基準子午線(日本は東経 135°)との差、均時差(誤差は約 ±0.5 分)。多くの人が覚えているのは時計の時刻で、補正するかどうか自体に流派の違いがあるため、初期設定では補正しません。項目ごとの説明と補正ツールは出生時刻の補正にあります。 |
| 大運(たいうん) | 陽年生まれの男性・陰年生まれの女性は順行、その逆は逆行。立運は伝統的な「三日を一年に換算」 | 生まれた時点から次の(または前の)節まで数え、3 日を 1 年に換算します。最も広く使われている方法です。分単位で精密に計算する方法もあり、両者で数か月ずれることがあります。 |
| 北半球・南半球 | 現在は一律に北半球の季節で調候を判断 | 南半球の季節は北半球と逆です。エンジンは寒暖の判断をまとめて反転させることにすでに対応していますが、命式の画面ではまだ切り替えを開放していません。四柱そのものには影響しません。 |
二、身強・身弱の計算方法
古典は強弱を「得令(とくれい)・得地・得勢」といった基準で語りますが、数字は示していません。当サイトはそれを加重スコアに置き換えました。利点は、どの命式の判定も再現でき、検証できることです。その代わり、重みは当サイトが独自に定めたもので、古典の原文ではありません。まずこの点をはっきりさせておきます。
手順はこうです。命式上の日干以外のすべての天干と、地支のすべての蔵干(ぞうかん)を、日干との関係で五つに分けます。我を生む印星、我と同じ比劫(比肩・劫財)、我が生む食傷(食神・傷官)、我が剋す財星、我を剋す官殺(正官・偏官)です。それを位置ごとに重みづけして合計します。
| 位置 | 重み | 説明 |
|---|---|---|
| 月支 | 3.0 | 月令が最も重い。「得令」かどうかは主にここで決まる |
| 日支 | 2.0 | 日干が座る場所で、最も身近 |
| 年支・時支 | 各 1.5 | 日干から比較的遠い |
| 年干・月干・時干 | 各 1.0 | 日干そのものは数えない。助けられ、剋される対象だから |
| 地支の蔵干 | 本気 1.0/中気 0.5/余気 0.3 | その地支の位置の重みを掛ける |
次に「扶身比率」=(印星+比劫)÷ 全体の量 を計算します。
- 0.55 以上を身強(みきょう)、0.35 以下を身弱(みじゃく)、その間を中和と判定します。
- 地支の関係はスコアに織り込みます:方合(三会)・三合・半合が成立すると、化した五行に加点します。冲(ちゅう)は冲された地支の蔵干を割り引きます。いわゆる「冲すれば根が揺らぐ」です。干合(かんごう)は現在のところ注記するだけでスコアは変えず、合化が真か仮かの判断もまだ組み込んでいません。
- 「得令」(月支の本気が印星か比劫)と「通根(つうこん)」(地支に比劫が蔵されている)は別に表示し、古典の言い方と照らし合わせられるようにしています。
三、従格:見逃しても、誤判定はしない
従格(じゅうかく)は扶抑の例外です。日干が弱すぎて頼るものがまったくないときは、もう助けずに最も強い側に従います(従財・従殺・従児・従勢)。逆に、強すぎて洩らすものも剋すものもまったくないときは、その強さに従います(従旺・従強)。厄介なのは、いったん従格と判定すると、用神と忌神がまとめて逆転することです。普通の身弱を従弱と誤判定すれば、出てくるアドバイスはちょうどすべて正反対になります。
そこで当サイトは二つの基準を設けています。
- 従弱の確定:扶身比率が 0.12 以下で、しかも地支に比劫の根がなく、命式全体に印星がないこと。少しでも根か印星があれば「破格(はかく)」とし、身弱として扱います。
- 従旺・従強の確定:扶身比率が 0.90 以上で、食傷・財星・官殺を合わせてもほぼゼロであること。
- 近いが基準に届かないもの(0.22 以下で根も印星もない、または 0.82 以上で洩らすもの・剋すものがごく少ない)は「従格の疑い」と表示し、通常どおり身強・身弱で用神を取ったうえで、判定理由に人の目での再確認を勧める注記を入れます。
四、用神の三層の取り方
当サイトの用神は一つのルールで出すのではなく、三層を重ねて出します。エンジンは一層進むごとに判定理由を一文ずつ記録します(下の実例で引用しているのがその理由です)。現在、命式の結果画面には最終的な用神・忌神だけを表示しており、理由の一覧は順次画面に追加していきます。
第一層:扶抑(土台)
身強なら洩らす・剋す・消耗させる。食傷・財星・官殺を喜び、印星・比劫を忌みます。身弱なら生じて助ける。印星・比劫を喜び、食傷・財星・官殺を忌みます。中和の命式は、弱いほうを少し補い、「用神・忌神の差は小さく、起伏も小さい」と注記します。この層は『滴天髄』の流れをくむ旺衰論に対応し、現代の多くの四柱推命書の主軸になっています。
第二層:調候(寒暖)
『窮通宝鑑』の中心となる考え方です。冬生まれの命式は寒すぎるので火で温め、夏生まれは燥きすぎるので水で潤す。当サイトの寒暖スコア=月令の基準値(寅月〜未月はやや暖、申月は中間、酉月〜丑月はやや寒。午月が最も暑く、子月が最も寒い)+命式中の火と水の量の差です。
- スコアが −2 以下なら寒に偏り火が必要、+2 以上なら燥熱に偏り水が必要とします。
- 命式にすでに十分な火(または水)があれば、それ以上は補いません。調候は「必要で、しかも足りない」ときだけ用神に加えます。
- 基準値をかすめる程度(0.5 以内)のものは、判定理由を「やや偏る」と書き換え、境界に近いと注記します。境界上のケースを断定口調で書かないためです。
第三層:病薬(強すぎるものは病になる)
明代の張楠(張神峰)は『神峰通考』で「有病方為貴,無傷不是奇」(病があってこそ貴く、傷がなければ奇ではない)と説きました。命式のある力が行きすぎれば、それ自体が病であり、それを制するものが薬だ、という考え方です。当サイトの判定条件は、次の三つが同時に成り立つことです。
- ある類が命式全体の量の 36% 以上を占める
- 二番目に大きい類の 1.5 倍以上である
- 量そのものが 3 以上ある
薬の取り方:印星が重すぎれば財星で印を剋す。比劫が重すぎれば官殺で剋し、食傷で洩らす。食傷が重すぎれば印星で制する。財星が重すぎれば比劫を使う。官殺が重すぎれば印星で化し、食傷で制する。病薬が成立すると、薬を用神に格上げして最優先に置き、病を忌神にします。扶抑の結論より優先されることもあります。
三層をどう組み合わせるか
扶抑を土台に、調候は「足りなければ補う」、病薬は「薬を用神に上げ、病を忌神に下げる」。調候が必要とする五行がたまたま扶抑の忌神にあたると、両者が引っぱり合います。たとえば甲木の身弱で、しかも真冬生まれの場合。扶抑では水と木で生じ助けたいので、身を洩らす食傷の火は忌神になります。ところが調候では、火で命式を温める必要があります。こうしたケースで当サイトはどちらか一方を無理に選ばず、グレーゾーンとして「少量を補い、大運・年運での調整に任せる」と表示します。
五、実例:壬子 壬子 甲申 庚午
架空ですが干支の組み合わせとしては成立する命式を使い、上のルールを最初から最後までたどってみます。以下の数字は、すべて当サイトのエンジンが実際に計算した結果です。
子
子
申
午
- 分類とスコア:日干は甲木。壬水・子水は木を生じるので印星、庚金・申金は木を剋すので官殺、午火は食傷、午の中の己土は財星です。重みづけの結果、印星 7.9、官殺 3.0、食傷 1.2、財星 1.2、比劫 0。
- 地支の関係:子と午が冲し、午火の根が割り引かれます。申と子が半合して水に化し、水にさらに加点。この二つはエンジンの判定理由に記録されます。
- 強弱:扶身比率は 0.594 で 0.55 を超えるため、身強と判定。ただしこの「強」はすべて印星に支えられたもので、比劫は一点もありません。
- 扶抑:身強なので火・土・金(食傷・財星・官殺)を喜び、水・木を忌みます。
- 調候:子月は一年で最も寒い月で、しかも命式は水が多く火が少ないため、寒暖スコアは −5.68 とはっきり寒に偏ります。命式の火は午の中のわずかな分だけで、しかも冲されているので、火が足りないと判定し、火が必要とします。
- 病薬:印星(水)が命式全体の 59% を占め、二番目の官殺の 2.6 倍なので、「印が重く病となる」が成立。薬は印を剋す財星、つまり土です。
- 総合:用神は順に土・火・金(薬が最優先)、忌神は水・木。平たく言えば、この命式の問題は日干が弱すぎることではなく、水に浸かっていることです。土で水をせき止め、火で命式を温める必要があります。
自分の命式でどんな結論が出るかは、トップページで命式を出すか、詳しい命式鑑定を作成して確かめられます。どちらも同じ強弱判定エンジンを使っています。
六、エンジンにできないこと
限界をはっきり書くことは、方法をはっきり書くことと同じくらい大切です。
- 重みと基準値は当サイト独自の数値化で、判定を再現・検証できるようにするためのものです。古典がこうした数字を示したわけではありません。重みが違えば、境界上のケースでは別の結論になります。
- 格局派の用神の取り方は、まだ主軸に組み込んでいません。『子平真詮』のように月令で格を定め、格に従って用神を取る方法と、当サイトの旺衰を土台にする方法は別の道です。結論が一致することは多いものの、保証はできません。
- 干合の合化が真か仮かは判断しません。合による拘束を注記するだけで、日干がほかの干と干合する命式では、人の目での再確認を勧める注記を入れます。
- 神殺(しんさつ)は用神・忌神の判定に関与しません。サイト内の神殺の記事は知識の紹介で、当サイトの用神計算は神殺を一切見ていません。
- エンジンが出すのは理由つきで検証できる出発点であって、結論ではありません。命理の内容は参考と自己理解のためのもので、医療・投資・法律その他の専門的な助言ではありません。
七、参考にした古典の考え方
当サイトは古典を一字一句移しているのではなく、各家が認める中心的な考え方を取り出し、再現できるプログラムのルールに書き直しています。対応は次のとおりです。
- 『滴天髄』(任鉄樵の増注本):旺衰、得令と通根、従格の考え方。
- 『窮通宝鑑』:調候、つまり生まれ月ごとの寒暖燥湿。
- 『神峰通考』(張楠):病薬説。
- 『子平真詮』(沈孝瞻):用神と格局の基本的な枠組み。上で述べたとおり、格局による用神の取り方はまだ計算に入っていません。
誤りの報告
ある命式の判定が明らかにおかしい、あるいはこのページに書いたルールと画面の結果が合わない、ということがあれば、ぜひメールでお知らせください。できれば生年月日と出生時刻(または四柱の干支)を添えていただけると助かります。エンジンを修正するたびに、このページも更新します。
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