四柱推命の「刑」とはどういう意味?
「冲」が二つの字の正面衝突で、一瞬ではじけるものだとすれば、「刑(けい)」は見えないところでのもつれ合い、すり減らし合いです。はっきりぶつかるわけではないのに、目に見えない場所で互いを消耗させます。冲のように大きな音を立てるのではなく、長引き、絡みつき、少しずつ人を疲れさせていくのが刑です。
- 関係の種類
- 刑(もつれ・すり減らし合い)
- 三刑
- 寅巳申(無恩の刑)・丑戌未(恃勢の刑)・子卯(無礼の刑)
- 自刑
- 辰辰・午午・酉酉・亥亥
- 傾向
- もめ事、訴訟、人間関係の摩擦、内なる消耗
一、「刑」は何をするのか
「刑」という字は、もともと刑罰、もつれ、もめ事を意味します。四柱推命では、いくつかの地支がそろったときに、ひそかに互いを消耗させ、困らせ合うことを指します。冲との最大の違いはここです。冲は正面衝突で、来るのも去るのも速く、車どうしがぶつかって一瞬で結果が出るようなものです。刑はひそかなもつれで、来るのが遅く、長く尾を引きます。二人の人間が毎日すれ違い、すっきり決着がつくことはないのに、毎日どこか居心地が悪い。刑はたいてい一度の大きな災いではなく、長く続く消耗ともめ事なのです。
二、三刑にはそれぞれ性格がある
四柱推命の「三刑(さんけい)」は、それぞれ癖のある三つの組み合わせで、昔の人はとても的確な名前をつけました。寅巳申――無恩の刑:この三字がそろうと、内側の力が互いに剋し合います。興味深いのは「恩をあだで返す」という点で、助けた相手に逆にかみつかれる、善意が報われない、共同の話がこじれる、自分が引き立てた人に背かれる、といった形で現れやすいとされます。丑戌未――恃勢の刑:三字とも土に属し、同じ仲間なのに、数を頼んで互いに困らせ合います。身内どうしの争いや、勢いを笠に着たもめ事を表します。子卯――無礼の刑:子の水はもともと卯の木を生む、相生の恩のある関係です。それなのに刑するのは、恩を受けながら礼をわきまえないようなもの。言動が節度を失う、親しい人と仲たがいする、といった形で現れやすい組です。
三、自刑:誰にも何もされていないのに、自分とうまくいかない
もっとも特殊なのが「自刑(じけい)」です。辰と辰、午と午、酉と酉、亥と亥のように、同じ字が命式に重なって現れ、自分で自分を持て余す状態です。自刑の味わい深いところは、誰にも邪魔されていないのに、自分で自分をぐるぐる巻きにしてしまう点です。考え込む、同じことをくり返し悩む、自分で心配事をつくる、自分をすり減らす。外は穏やかなのに、心の中では毎日戦っている、そんな状態を表します。
四、刑はどう現れる?
刑には「刑罰・もめ事」の色合いがあるため、現実にはこんな形で現れやすいとされます。もめ事・訴訟(裁判、トラブル、口論、書類の面倒)、人間関係(身近な人とのくり返す摩擦やわだかまり)。昔の命理書は体のケガや手術と結びつけて語ることもありますが、本サイトでは健康の判断には用いません。体調が気になるときは医療機関にご相談ください。どの面に現れ、どの家族に関わるかは、四柱のどの柱にあるかで決まります。刑も冲と同じく、たいてい大運や年運が残りの字を運んできたときに動き出し、その期間に出来事として現れます。
五、刑はいつでも災い?――刑をもって刑を制す
とはいえ、刑は悪いことばかりではありません。刑には「刃物を扱う、厳しく引き締める」気配があり、この気を正しい方向に使えば、かえって物事を成し遂げる力になります。命理には「刑をもって刑を制す」という言葉があります。刑を持つ人が、合法的に刃物を扱う、規律を守らせる、もめ事を収める仕事、たとえば外科医、歯科医、自衛官や警察官、司法、鑑識といった分野に進むと、人よりも順調に、安定して働けることが多いというのです。荒々しい気が正当な出口を得れば、自分に向かってくることはなくなります。(以上は伝統的な命理の考え方で、参考・娯楽を目的としたものです。専門的な助言ではありません。)
六、命式の中の物語
ある女性の命式には「自刑」がありました。命式に「午」が二つ並ぶ、午午の自刑です。暮らしぶりは悪くなく、仕事も安定していて、周りからは何の波風も見えません。けれど本人にはわかっていました。夜はなかなか眠れず、小さなことを百回も思い返し、口にしたことをあとで長々と後悔する。誰にも困らされていないのに、いつも心の中で自分と戦っているのです。ある年、年運でまた「午」が巡ってきて、午の力がさらに加わると、この自分とのもつれはいっそう重くなりました。のちに彼女は瞑想を学び、あの考え込む性分を、極度の集中を要する手仕事や校正の仕事に向けました。止まらない頭も、使いどころを得れば、誰にもまねできない繊細さになります。自刑の解き方は、外ではなく、自分と和解することの中にあることが多いのです。
あなたの命式に刑はありますか?どの種類ですか?
三刑や自刑がどの柱にあり、何に関わるのかは、四柱全体を見てはじめてわかります。生年月日を入れて無料の命式を出し、ご自分の刑を確かめてみてください。
よくある質問
刑と冲はどう違いますか?
冲は正面衝突で、来るのも去るのも速いものです。刑はひそかなもつれで長引き、長く続くもめ事や内なる消耗を表すことが多いです。
命式に三刑があると必ず悪いのですか?
そうとは限りません。刑の厳しい気は、外科や警察、司法など「刑をもって刑を制す」正しい方向に使えば、かえって物事を成し遂げる力になります。何もせずにいると、その気が自分に向かいやすいのです。
自刑とは何ですか?
辰・午・酉・亥のいずれかが命式に重なって現れる(たとえば午が二つ)ことです。自分で自分を持て余し、考え込む、同じことをくり返し悩む、自分をすり減らすといった傾向を表します。
三刑は三字すべてそろわないといけませんか?
寅巳申・丑戌未は三字そろうと力がもっとも完全になります。二字だけ(寅巳、巳申など)でも刑になり、力はやや軽くなります。運で三字目が補われた年に、刑はもっともはっきり現れます。