乙木雖柔:『滴天髄』乙木を一句ずつ読む

乙木(きのと)は陰の木で、草花やつる草、しなやかで粘り強い植物にたとえられます。『滴天髄』は八句でこう書きます。「乙木雖柔,刲羊解牛,懷丁抱丙,跨鳳乘猴,虛濕之地,騎馬亦憂,藤蘿繫甲,可春可秋。」書き下すと「乙木は柔なりと雖も、羊を刲き牛を解く、丁を懐き丙を抱けば、鳳に跨り猴に乗る、虚湿の地にては、馬に騎るも亦た憂う、藤蘿、甲に繋がれば、春にも可、秋にも可なり」。このページでは原文を一句ずつほどき、条件として書き出せる句を実際の命式に当てはめて確かめます。乙を「自分」の性格・仕事・恋愛として読むなら、日干乙木の性格をご覧ください。

原文を一句ずつ

原文書き下し文現代語訳
乙木雖柔,刲羊解牛乙木は柔なりと雖も、羊を刲き牛を解く乙木は草花やつる草です。見た目はかよわいのに、未(羊)と丑(牛)という二つの土を切り開くことができます。柔らかさの中に粘り強さがあるのです。
懷丁抱丙,跨鳳乘猴丁を懐き丙を抱けば、鳳に跨り猴に乗るそばに丙・丁の火があれば、乙木は酉(鳳=ニワトリ)や申(猿)といった金の強い場所でも立っていられます。火が金を抑えるからです。
虛濕之地,騎馬亦憂虚湿の地にては、馬に騎るも亦た憂う湿って冷たく、水の多い環境に生まれると、午(馬)の火の上に座っていても温まりきらず、なお心配が残ります。
藤蘿繫甲,可春可秋藤蘿、甲に繋がれば、春にも可、秋にも可なりつる草が甲木という大樹にからみつけば、春でも秋でも安心して育ちます。乙木は力を借りる術を知っているのです。

原文は『滴天髄闡微』(任鉄樵注)によります。歴代の注釈者の間で読み方が分かれる字句もあり、当サイトではより広く行われている読みを採っています。書き下し文は当サイトによるものです。

原文の条件は、実際の命式でどれくらい見られるか

原文には、季節、ある字が出ているかどうか、ある五行が多いかどうかなど、命式の上で確かめられる条件を書いた句があります。当サイトのエンジンで作成した 16,802 枚の命式のうち、日干が乙の約 1,680 枚で見ると、次のとおりです。

句確かめた条件実測
懷丁抱丙
丁を懐き丙を抱けば
天干に丙か丁が透出している55.4% が火を透出、4.9% は命式に丙・丁がまったくない
跨鳳乘猴
鳳に跨り猴に乗る
地支に申か酉があるとき、火があるか申・酉あり 51.7%、金を抑える火がないのは 4.2%
虛濕之地
虚湿の地にては
冬生まれで、水が多い5.6%
藤蘿繫甲
藤蘿、甲に繋がれば
命式に甲がある(天干または蔵干)66.0%
89.9%日干乙の命式で「要注意」の句が一つもない
10.1%少なくとも一句が「要注意」

集計方法:当サイトのエンジンで 1960〜2005 年の毎日 1 枚ずつ命式を作成し(出生時刻は固定シードの乱数で抽出)、計 16,802 枚、日干ごとに約 1,680 枚です。割合はその日干の命式数を母数としています。これは命式の構造の分布であり、だれかの運勢の良し悪しを表すものではありません。

乙木がほかの九干に出会うと

出会う干五行関係合・冲
甲木木同じ五行で陰陽が逆—
丙火火自分が相手を生む—
丁火火自分が相手を生む—
戊土土自分が相手を剋す—
己土土自分が相手を剋す—
庚金金相手が自分を剋す干合(金に化す)
辛金金相手が自分を剋す冲
壬水水相手が自分を生む—
癸水水相手が自分を生む—

表の「自分」は乙を指します。干合・冲のくわしいルールは十干論と刑・冲・破・害・合をご覧ください。乙が日干としてほかの天干に出会うとき、その関係は通変星になります。通変星をご覧ください。

乙木が年干・月干・時干にあるとき

乙が日柱以外にあるときは、その位置が表す分野のことを語ります。年干なら家柄や幼いころの環境にある草花の気質、月干なら仕事の舞台での草花の気質、時干なら晩年や長期の計画です。それがあなたにとって助けになるか重圧になるかは、日干との関係(上の表)と、あなたの用神・喜神によって決まります。

生まれ月によって乙が求めるもの

『滴天髄』が描くのは乙の一般的な性質です。『窮通宝鑑』はさらに、乙が十二か月それぞれに生まれたとき何を調候(ちょうこう)に取るかを表にしています。乙木の月ごとの調候をご覧ください。

あなたの日干を『滴天髄』で調べる:原文の条件を一つずつ照合

生年月日を入れると(出生時刻は空欄でもかまいません)、あなたの日干の原文と、条件として書き出せる句があなたの命式で成り立つかどうか、さらに年・月・時干が日干を生むのか剋すのか合するのかを表示します。計算はすべてお使いのブラウザの中で行い、データは送信されません。

新暦(グレゴリオ暦)の生年月日を使い、日付は午後 11 時で切り替えます。「透干(透出)」は年・月・時干に現れていること、「地支に蔵するだけ」は地支の蔵干にだけ現れていることを指します。

甲木甲木は天に参じ、胎を脱するには火を要す 丙火丙火は猛烈にして、霜を欺き雪を侮る 丁火丁火は柔中にして、内性は昭融なり 戊土戊土は固重にして、既に中にして且つ正なり 己土己土は卑湿にして、中正にして蓄蔵す 庚金庚金は煞を帯び、剛健なること最たり 辛金辛金は軟弱にして、温潤にして清し 壬水壬水は河に通じ、能く金気を洩らす 癸水癸水は至弱にして、天津に達す

正直なひとこと:古典はひとつの見方であって、判決ではありません

『滴天髄』は明・清以来もっとも重んじられてきた命理の古典のひとつで、十干論では四字一句で各天干の性質と好むもの・嫌うものを描いています。簡潔さが長所であり、短所でもあります。同じ一句でも、歴代の注釈者の読み方は必ずしも一致しません。当サイトでは、条件として書き出せる句だけを命式に当てはめて確かめ、それ以外は原文のまま並べて、吉凶の断定には広げません。当サイトの内容は参考・娯楽を目的としたものです。

あなたの命式に、乙が求めるものはある?

生年月日を入れて、日干の原文の条件を一つずつあなたの命式で照合し、年・月・時干が日干を生むのか剋すのか合するのかも確かめましょう。

乙木(天干)のよくある質問

『滴天髄』の乙木の原文は?

「乙木雖柔,刲羊解牛,懷丁抱丙,跨鳳乘猴,虛濕之地,騎馬亦憂,藤蘿繫甲,可春可秋。」全八句で、書き下すと「乙木は柔なりと雖も、羊を刲き牛を解く、丁を懐き丙を抱けば、鳳に跨り猴に乗る、虚湿の地にては、馬に騎るも亦た憂う、藤蘿、甲に繋がれば、春にも可、秋にも可なり」となります。

「乙木雖柔、刲羊解牛」とはどういう意味ですか?

乙木は草花やつる草です。見た目はかよわいのに、未(羊)と丑(牛)という二つの土を切り開くことができます。柔らかさの中に粘り強さがあるのです。

「懐丁抱丙、跨鳳乗猴」とはどういう意味ですか?

そばに丙・丁の火があれば、乙木は酉(鳳=ニワトリ)や申(猿)といった金の強い場所でも立っていられます。火が金を抑えるからです。

乙木のイメージは?

乙木は陰の木で、草花やつる草、しなやかで粘り強い植物にたとえられます。同じ木のもう一つの干は甲木で、陰陽が違うため性質もかなり異なります。