三垣:空の宮殿・朝廷・市場
古代中国の天文家は、空を一つの国家に見立てました。北極のそばには天帝が住む城壁に囲まれた宮殿があり、その隣に政務を行う朝廷、少し離れて市場がある。城壁のような星の列で囲まれたこの三つの区域が三垣です。二十八宿とともに、中国の空の骨組みをつくっています。
三垣の位置
| 表すもの | 位置 | 西洋の星座 | 見つけ方 | |
|---|---|---|---|---|
| 紫微垣(しびえん) | 天帝の宮殿 | 天の北極のまわり | こぐま座、りゅう座、ケフェウス座、きりん座 | 北極星(勾陳一)を見つけ、そのまわりを囲む二列の弧状の星(左垣・右垣)をたどる |
| 太微垣(たいびえん) | 朝廷・政府 | 北斗の南、黄道の北 | しし座、おとめ座、かみのけ座 | 春の宵、しし座の尾のデネボラとおとめ座の間 |
| 天市垣(てんしえん) | 市場 | 天の川の西、さそり座の北 | ヘルクレス座、へびつかい座、へび座 | 夏の宵、夏の大三角の南西にある暗い星の大きな輪 |
台北 5 月 15 日 夜 10 時。空を見上げたときの向きで、北が上、東が左、中心が天頂、外周が地平線です。惑星と月は年によって位置が変わるため描いていません。特定の日の空は、このページのツールでご覧ください。
紫微垣:北極星は変わる
現在の北極星はポラリス(こぐま座 α、中国名 勾陳一)で、天の北極からわずか 0.6° しか離れておらず、ほとんど動きません。しかし歳差によって天の北極は約 26,000 年で大きな円を描くため、北極星の役目は星から星へ受け継がれていきます。
歳差の式で逆算すると、紀元前 1000 年ごろのポラリスは北極から 17° も離れていて、最も近い明るい星はコカブ(こぐま座 β)で約 7° でした。コカブの中国名は「帝」で、これが名前の由来だと考えられています。ポラリスはこれからも北極に近づき、今世紀末には約 0.5° まで寄ってから、ゆっくり離れていきます。日本では北極星を「子(ね)の星」と呼び、北斗七星とともに妙見信仰の対象にもなってきました。
北極星の高度はその土地の緯度とほぼ同じで、台北では約 25°、東京では約 36°、札幌では約 43° です。緯度が低い台北では北極から 65° 以内の星しか沈みませんが、東京では 54° 以内の星が一晩中沈まず、紫微垣の大部分が一年中見えます。
紫微斗数の紫微星は空の星ではない
紫微斗数の名前は紫微垣から来ていますが、命盤の紫微星や天府星は生年月日と時刻から計算する「仮想の星」で、どれも実在の星には対応しません。命盤の貪狼・巨門・禄存・文曲・廉貞・武曲・破軍は北斗七星の道教での呼び名で、命盤の上ではやはり計算上の位置です(北斗七星、紫微斗数)。
太微垣と天市垣
太微垣はしし座とおとめ座の間にあります。中には五帝座(しし座の尾のデネボラが五帝座一)、三公、九卿といった星官があり、まさに空の朝廷です。しし座の頭の「裏返しの?」の形は中国名を軒轅(けんえん)といい、いちばん明るいレグルスは軒轅十四です。
天市垣はヘルクレス座とへびつかい座のあたりです。垣根の星の多くは宋・韓・魏・趙といった古代の国の名前で、中には升や市場の店、肉屋の星官まであります。明るい星が少ないので、輪の全体を見るには暗い空が必要です。
よくある三つの誤解
北極星は空でいちばん明るい星。
北極星は 2 等星ほどで、いちばん明るい恒星はシリウスです。北極星が大事なのは、明るいからではなくほとんど動かないからです。
北極星はずっと同じ星。
歳差で天の北極は動きます。3,000 年前に北極に最も近い明るい星はコカブ(「帝」星)で、今はポラリス、約 12,000 年後にはベガの近くになります。
紫微星は北極星のこと。
紫微斗数の紫微星は計算上の仮想の星です。空の紫微垣は区域で、北極星はその中にありますが、両者は別のものです。
今夜の星空:いま頭の上に何があるか
日付・時刻・場所を選ぶと、その瞬間の全天星図を描き、月、惑星、高く昇っている明るい星、そして真南に南中している二十八宿を表示します。西洋の星座と中国の星官の線を切り替えられます。計算はすべてお使いのブラウザの中で行います。
星表:ヒッパルコス星表の 5 等星までの約 1,600 個(d3-celestial から整理、BSD ライセンス)。月と惑星は簡易計算で位置の誤差は 0.3° 以内、大気差は考慮していません。
正直に言うと:ここで扱うのは天文で、吉凶ではありません
このテーマで扱うのは、実際に空に見える星のことです。どの方角にあり、どの季節に見え、東洋と西洋でそれぞれ何と呼ぶか。暦注の「今日の宿」、宿曜占星術、テレビの星占いの十二星座、紫微斗数の星は、どれも星の名前を借りていますが別の計算体系で、その夜の空の星とは対応していません。当サイトの内容は参考・娯楽を目的としたものです。
紫微斗数:星の名前から命盤へ
紫微斗数は紫微垣と北斗七星の名前を借りていますが、計算は独自のものです。無料で命盤を出して、十四主星がどの宮に入るか見てみましょう。
三垣のよくある質問
三垣とは何ですか?
紫微垣(天の北極のまわり、天帝の宮殿)、太微垣(しし座・おとめ座のあたり、朝廷)、天市垣(ヘルクレス座・へびつかい座のあたり、市場)の三つです。
紫微垣はどこにありますか?
天の北極のまわりで、おおむねこぐま座・りゅう座・ケフェウス座・きりん座にあたります。北極星を見つけ、そのまわりを囲む二列の弧状の星の内側が紫微垣です。
紫微斗数の紫微星は空に見えますか?
見えません。紫微斗数の星は生まれた時刻から計算する仮想の星で、名前は中国の星官から来ていますが、位置は実際の空と関係ありません。