通関用神:二つの力が譲らないとき、両方が受け入れられる一つを探す

金は木を剋します。けれどもあいだに水があれば、金はまず水を生み、水が木を生むので、もとの衝突は一本の順流に変わります。これが通関の原理で、どちらかを押さえつけるのではなく、両者のあいだに橋を架けるのです。この考え方は『滴天髄』で詳しく説かれていて、五つの取り方の中でいちばん「調停」の色合いが強いものです。

公式は一つだけ:A が B を剋すなら、A が生み、しかも B を生むものを取る

五行の相剋の両端のあいだには、必ずちょうど一つの五行が挟まっています。金が木を剋すならあいだは水(金は水を生み、水は木を生む)。木が土を剋すならあいだは火、土が水を剋すならあいだは金、水が火を剋すならあいだは木、火が金を剋すならあいだは土。通関を探すとは、この一つを探すことです。

通変星に置き換えると、次の五つの争いになります。例はすべて甲木の日干で見ています。

争い古典によくある言い回し通関に取るもの甲木の日干の例
財が印星を剋す貪財壊印(たんざいかいいん)官殺(財が官殺を生み、官殺が印星を生む)土と水が争い、金を取る
官殺が比劫を剋す身殺両停、殺印相生を要す印星(官殺が印星を生み、印星が比劫を生む)金と木が争い、水を取る
印星が食傷を剋す梟神奪食(きょうじんだっしょく)比劫(印星が比劫を生み、比劫が食傷を生む)水と火が争い、木を取る
食傷が官殺を剋す傷官見官(しょうかんけんかん)財(食傷が財を生み、財が官殺を生む)火と金が争い、土を取る
比劫が財を剋す比劫奪財、群劫財を争う食傷(比劫が食傷を生み、食傷が財を生む)木と土が争い、火を取る

「傷官見官」は古典でとても有名な凶象です。傷官は管理に従わず、ルールを壊したがる性質、正官はルールそのものを表し、両者がぶつかると衝突が起きます。けれどもあいだに財があれば、傷官の才能はまず収入に変わり、その収入が地位や名声を支えるので、もとの衝突に出口ができます。古人が「傷官見官も、財あれば解ける」と言ったのはこのためです。

当サイトは「争い」をどう判定するか

二つの通変星の加重分量がどちらも 3 以上、弱い側が強い側の 7 割以上、両者を合わせて命式全体の 65% 以上。言いかえれば、命式がほぼこの二つの力で二分され、しかもどちらも相手を圧倒できない状態です。条件を満たすのは約 7.0% です。

どちらか一方が明らかに相手を上回るなら、それは争いではなく病薬の範囲です。一方が突出して病となり、薬でそれを剋します。両者の違いは力の形にあり、一方に偏れば薬を、両者が膠着していれば通関を用います。

なぜ通関は提示のみで、喜忌を変えないのか

争いそのものが必ずしも日干を傷つけるとは限らないからです。二つの力がもみ合うことで、身強の日干の余った力をちょうど消耗してくれることもあれば、身弱の日干が板挟みになって苦しむこともあります。通関の五行を補うべきか、どれだけ補うかは、日干がどちら側に立っているかで決まり、命式全体をあわせて判断する必要があるので、エンジンが代わりに決めるべきではありません。

実測もこのやり方を裏付けています。通関に取られる五行は、およそ半分がちょうどその命式の扶抑で判定した忌神です。無理に用神・喜神に入れれば、扶抑と正面からぶつかってしまいます。次の二つの命式は、ちょうど順と逆の例です。

順:通関の五行がそのまま用神・喜神

1960 年 1 月 28 日・卯の刻生まれ(新暦)

年柱己亥
月柱丁丑
日柱・日干乙卯
時柱己卯
  1. 争い:乙木の日干で、日支・時支に卯木が二つ、さらに亥卯の半合で木となり、比劫がとても強い。反対側では年干・時干に己土が二つ、月令の丑土が旺じて財も重い。比劫が財を剋し、両者が拮抗しています。
  2. 通関:木が土を剋し、あいだは火(木は火を生み、火は土を生む)。火、つまり乙木にとっての食傷を取ります。
  3. 扶抑:全体として中和に近く扶助がやや上回り、扶抑でももともと火・土を取っています。
  4. 結果:通関と扶抑の方向が一致し、火はこの命式のはっきりした用神・喜神です。力を表現と成果づくりに注ぎ、仲間と資源のあいだに通る道をつくるとよいでしょう。

逆:通関の五行が扶抑の忌神

1960 年 4 月 26 日・辰の刻生まれ(新暦)

年柱庚子
月柱庚辰
日柱・日干甲申
時柱戊辰
  1. 争い:甲木の日干で、時干の戊土と辰土二つが財。年支の子水が申・辰と三合して水局となり、印星も重い。財が印星を剋し、両者が膠着しています。
  2. 通関:土が水を剋し、あいだは金。金、つまり甲木にとっての官殺を取ります。
  3. 扶抑:庚金が二つ天干に出て日支も申金で、官殺はもともと少なくありません。全体として中和に近く消耗がやや上回り、扶抑では水・木を取り、土・金を忌とします。
  4. 結果:通関は金を求め、扶抑は金を忌神に入れています。この命式をどう取捨するかは、財と印星の争いが本当に甲木を傷つけているかで決まり、当サイトは通関を提示にとどめて、あなたや信頼できる先生の判断に委ねます。

通関の考え方を日常に置き換えると

通関の発想は人間関係にも通じます。互いに反りの合わない二人の同僚には、上司がどちらかを力で押さえるより、双方が信頼できる人が間に入って調整するほうがうまくいくものです。命式の通関の五行も同じことを示しています。二つの引っ張り合いのどちらかにつくより、両方が動き出せる道を探しなさい、ということです。

正直なひとこと:用神・喜神は方向であって、保証ではありません

用神の取り方は、命理の中で最も意見が分かれるところです。同じ命式を三人の先生に見せて三通りの答えが返ってくるのも珍しくありません。当サイトはルールをはっきり書き、各段階をすべて開示して、答えがどう導かれたかを見えるようにしています。結論だけを渡して信じてもらうやり方はとりません。四柱推命は精密科学ではなく、当サイトの内容は参考・娯楽を目的としたものです。用神・喜神が示せるのは調整の方向で、道を歩くのはあなた自身です。

あなたの命式で二つの力が綱引きしていない?

生年月日を入れると、拮抗した争いがあるか、通関の五行はどれか、それが扶抑の喜忌と一致しているかがわかります。

通関用神のよくある質問

通関と病薬はどう違いますか?

力の形を見ます。一つの通変星が突出してほかをすべて圧倒しているなら病薬で、それを剋す五行を薬にします。二つの通変星が拮抗して剋し合っているときにはじめて通関で、あいだに挟まって両者を相生に変える五行を取ります。

「傷官見官」は必ず悪いのですか?

そうとは限りません。傷官と正官の相剋は、管理に従わない性質とルールとの衝突を表します。命式のあいだに財があれば、傷官がまず財を生み、財が官を生むので、衝突は原動力に変わります。古人はこれを「傷官見官も、財あれば解ける」と言いました。

通関の五行がちょうど自分の忌神の場合、どうすればよいですか?

このケースは争いのある命式のおよそ半分にあたります。鍵は争いが本当に日干を傷つけているかどうかです。日干が身強で争いが余った力を消耗しているだけなら、通関は急ぎません。日干が身弱で板挟みになって苦しんでいるなら、通関は比較的重要になります。当サイトは提示にとどめ、命式全体で判断することをすすめています。