病薬用神:多すぎて害になれば、補うべきものも避けるべきものに変わる

明代の張楠は『神峰通考』の中で、よく引かれる一句を残しています。「有病方為貴,無傷不是奇」、病があってこそ貴く、傷がなければ非凡ではない、という意味です。命式に欠点があるのは必ずしも悪いことではなく、病があり、しかも薬が見つかるなら、むしろ張りのある命式だというのです。病薬法が気にかけるのは日干が強いか弱いかではなく、命式全体の中に、ほかのすべてを圧倒するほど多くなった力があるかどうかです。

病はどこにあるか:どこからが「多すぎて害」か

当サイトのエンジンは三つの条件をあわせて判断します。ある通変星の加重分量が 3 以上、命式全体の 36% 以上、しかも 2 位の 1.5 倍以上。三つがそろったときに「突出して病となる」と認めます。基準を厳しめにしているのは、病薬が扶抑の結論を覆すため、判定を誤ったときの代償が大きいからです。

37.0%ある通変星が突出して病となる
10.1%病薬が扶抑にない薬を加える
1.6%もとの用神・喜神が忌神に反転
5 種類の病。それぞれに対応する薬がある

集計方法:当サイトのエンジンで 1960〜2005 年の毎日一枚ずつ命式を出し(時刻は順に入れ替え)、計 16,802 枚を集計しました。命式の構造の分布であり、だれかの運の良し悪しを示すものではありません。

37.0% と聞くと多く感じますが、たいていの場合、薬はもともと扶抑の用神・喜神に入っています。たとえば身強で比劫が重すぎる人は、扶抑の段階ですでに官殺・食傷を喜んでいて、病薬はそれを先頭に並べ直すだけです。本当に答えを変えるのは、右側の二つの数字です。

五つの病、五つの薬

病は通変星で分けます。どの通変星が強すぎるかによって、対応する薬が一つ決まります。古典でおなじみの四字の言い回しの多くは、実はこのことを言っています。

病(強すぎる通変星)古典によくある言い回し薬理屈
印星が重すぎる母慈にして子を滅ぼす。土多くして金埋もる、水多くして木漂う、木多くして火熄む、火多くして土焦げる、金多くして水濁る財自分を生む力が多すぎて、かえって息がつまり埋もれてしまう。財は印星を剋し、過保護をほぐす。
比劫が重すぎる群比財を争う、比劫奪財官殺が主、食傷が補助同類が多すぎて資源が足りない。官殺が直接抑え、食傷が余った力を漏らす。
食傷が重すぎる傷官太過、洩気太重印星発信と表現に歯止めがなく、自分を空っぽにしてしまう。印星は食傷を抑え、日干も補う。
財が重すぎる財多身弱、富屋貧人比劫目の前の機会と資源が多すぎて受け止めきれない。比劫が身を助けて分担し、財も剋す。
官殺が重すぎる殺重く身軽し印星が主、食傷が補助重圧と束縛が多すぎる。印星は官殺の力を身を生む力に変え、食傷は官殺を直接制する。

「土多くして金埋もる」のような言い回しは特に取り上げる価値があります。五行の相生では土が金を生み、土は金の母です。けれども土が多すぎると、金は土に埋もれて光が当たりません。身弱の人は扶抑の理屈なら印星を補うべきですが、印星がここまで多くなると、補えばさらに深く埋もれるだけです。

病薬はなぜ扶抑を覆すのか

土多くして金埋もる庚金

1961 年 4 月 7 日・午の刻生まれ(新暦)

年柱辛丑
月柱壬辰
日柱・日干庚午
時柱壬午
  1. 病を見る:庚金は辰月生まれで、年支の丑、月支の辰はどちらも湿った土、土は庚金を生む印星です。重み付けをすると、印星だけで命式全体の 4 割近くを占め、2 位を大きく上回るため、「印星が旺じすぎて病となる」と判定します。
  2. 扶抑:一方で壬水が二つ天干に出て、午火が二つ地支に座り、漏らし・消耗する力も少なくありません。全体として中和に近く消耗がやや上回るため、扶抑では土・金を取ります。
  3. 病薬:土こそが病です。薬は木で、木は庚金にとって財、土を剋して金を埋めている土をほぐします。
  4. 結果:土は用神・喜神から忌神に反転し、木が用神・喜神の先頭に来ます。最終的に喜は 木金、忌は 火土です。

扶抑が問うのは「助ける力と消耗させる力のどちらが多いか」だけで、助ける側のチームの中にすでに手に負えないほど大きくなったメンバーがいることは見えません。病薬はこの盲点を補うためのものです。

薬で病が去る:運を見るときに実感しやすい

病薬の命式をもつ人は、運の浮き沈みがはっきりしがちです。大運や流年が薬を運んでくると、何年も詰まっていたところが急にほどけたように感じ、さらに病を運んでくると、同じ問題が何度も繰り返されます。古典が「病重くして薬を得る」人は「病も薬もない」人より大きなことを成しやすいと言うのは、こうした張りのある命式のことです。

「病」という字に身構える必要もありません。ここでいう病は構造上のアンバランスにすぎず、体の健康とは関係がなく、命が悪いという意味でもありません。命式に薬が見当たらなくても大丈夫です。薬は大運・流年で巡ってくることもあれば、仕事の方向や生活のしかたで補うこともできます。たとえば財が重く身が弱い人にとって比劫は薬で、日常に置き換えれば、あらゆる機会を一人で引き受けるのではなく、仲間と一緒に担うということです。

正直なひとこと:用神・喜神は方向であって、保証ではありません

用神の取り方は、命理の中で最も意見が分かれるところです。同じ命式を三人の先生に見せて三通りの答えが返ってくるのも珍しくありません。当サイトはルールをはっきり書き、各段階をすべて開示して、答えがどう導かれたかを見えるようにしています。結論だけを渡して信じてもらうやり方はとりません。四柱推命は精密科学ではなく、当サイトの内容は参考・娯楽を目的としたものです。用神・喜神が示せるのは調整の方向で、道を歩くのはあなた自身です。

あなたの命式に「病」はある?

生年月日を入れると、多すぎて病になった通変星があるか、薬はどの五行か、病薬で扶抑の結論が変わったかがわかります。

病薬用神のよくある質問

病薬と身強・身弱はどう関係しますか?

身強・身弱は身を助ける側と消耗させる側の総量を比べるもの、病薬はそのうち特定の通変星が手に負えないほど多いかを見るものです。両者は同時に成り立つことがあり、衝突したときは病薬が優先され、薬が用神・喜神に上がり、病は忌神に回ります。

「土多くして金埋もる」とはどういう意味ですか?

土は金を生み、金にとっての印星ですが、土が多すぎると金はかえって埋もれて力を発揮できません。このとき土は助け手ではなく病になり、木(金にとっての財)で土をほぐします。同じように、水多くして木漂う、木多くして火熄む、火多くして土焦げる、金多くして水濁る、という言い方もあります。

命式に「病」があるのは悪いことですか?

いいえ。病は構造上のアンバランスにすぎず、健康や良し悪しとは関係ありません。古典では、病があって薬を得た命のほうがむしろ大きなことを成すとさえ考えます。大切なのは薬が何かを知り、運と生活の中でうまく使うことです。

命式に薬がない場合はどうすればよいですか?

薬は大運・流年で巡ってくることがあり、薬の運に入ると目に見える転機が訪れやすくなります。ふだんは仕事の方向、組む相手、生活習慣で補うこともできます。たとえば官殺が重すぎて印星が薬の人なら、学び直す、師を見つける、資格を目指すことが実際の薬の使い方です。