三運・三碧木星 震木(1904〜1923):帝国が次々と崩れ落ちた
三運には三碧木星(中国式の星名は禄存)が配され、卦は震(しん)、五行は木、方位は東です。震は雷、地の底から轟然と弾ける一撃です。その象は動、響き、驚き、そして長男――若く、衝動的で、古いものを突き破らずにはいられない力です。今回の三運は1904年(明治37年)〜1923年(大正12年)。この二十年の出来事を並べると、まるで震卦の説明書です。辛亥革命、第一次世界大戦、ロシア革命、五四運動、関東大震災。数百年続いた帝国が、この二十年で次々と倒れました。
- 九星
- 三碧木星(禄存)
- 卦
- 震
- 五行
- 木
- 方位
- 東
- 人物の象
- 長男
- 今回の周期
- 1904–1923前回 1724–1743
この運の気:「震」とは何か
震卦は二本の陰の下で一本の陽が動く形――下で押さえつけられていた力が、もう我慢できなくなった状態です。ですから震の気はいつも「下から上へ」。上に立つ者が自ら改革するのではなく、下の者が突き上げてくるのです。長所は生まれ出る力、勇気、開拓。短所は性急さ、制御不能、そして突き破ったあとに受け止めるものがないことです。
震は長男、足、雷鳴、大道、新芽を表します。人事では青年、運動、声、交通、突発的な出来事を司ります。三碧は伝統的に「是非星」とも呼ばれ、震木の落ち着きのなさ、口論や訴訟ごとが起きやすい面を指しています。三運が当令の時代にもっとも目立つ社会の特徴は、多くの場合若者が街頭に立ち、その声がかつてないほど遠くまで届くことです。
1904〜1923年:この二十年に起きたこと
この二十年、静かな年は一年もありませんでした。清帝国、ロシア帝国、オーストリア=ハンガリー帝国、オスマン帝国――数百年続いた四つの王朝が、すべてこの運のなかで終わりを迎えます。
- 1904日露戦争が始まる(〜1905年)
アジアの国が初めて欧州の列強に勝ちました。植民地世界じゅうの若者が、この雷鳴を聞いたのです。
- 1908光緒帝と西太后が相次いで死去、フォードがT型車を発売
旧秩序の最後の二本の柱が倒れ、同じ年、自動車が一般家庭に入り始めます。
- 1911武昌蜂起、辛亥革命
二千年以上続いた帝政が数か月で崩れました。震は雷――少しずつ変わるのではなく、一気に弾けるのです。
- 1912中華民国成立、タイタニック号沈没
新しい国が生まれ、「決して沈まない」はずの船が沈みました。旧時代の自信にひびが入った年です。
- 1914第一次世界大戦が始まる(〜1918年)
一発の銃弾が欧州全体に火をつけました。震卦が語るのは、まさにこうした小さな引き金と大きな連鎖です。
- 1915台湾で噍吧哖事件(西来庵事件)
日本統治時代で最大規模の武装抗日事件です。三運の騒乱は台湾でも形をとりました。
- 1917ロシア十月革命
労働者と兵士が政権を倒し、国家体制をつくり直した、人類史上初めての出来事です。
- 1919五四運動、ヴェルサイユ条約
学生が街頭に出て、新文化運動に火がつきました。震は長男――この運の主役は若者です。
- 1920『台湾青年』が東京で創刊
台湾の近代的な政治・文化啓蒙の出発点で、誌名にそのまま「青年」の二文字が入っています。
- 1921台湾文化協会設立(蔣渭水ら)、中国共産党結成
同じ年、知識青年が推し進める二つの組織の力が、それぞれ形になりました。
- 1923関東大震災
三運は文字どおりの地震で幕を閉じます。十万人を超える人が亡くなり、東京は壊滅ののち再建されました。
一周期さかのぼる:1724〜1743年の同じ運
三元九運は180年で一巡するため、前回の三運は1724〜1743年でした。二つの周期を並べると、テーマの重なりはかなりはっきりしています。
前回の三運:1724〜1743年一つ前の180年周期
- 1724 攤丁入畝を全面実施、火耗(付加税)を公費に繰り入れ――即位した雍正帝は雷のような手段で財政を立て直し、何代にもわたって誰も触れられなかった慣行に手を入れました。
- 1729 雍正7年前後に軍機処を設置――意思決定の中心が議政王大臣会議から皇帝の側近の小さな輪へ移り、効率が強引に引き上げられました。
- 1733 ケイが飛び杼を発明――紡織機械化の第一歩です。産業革命の雷は、このときはまだ遠くの鈍い響きにすぎませんでした。
- 1735 雍正帝が急死し、乾隆帝が即位――厳しさで知られた十三年の治世が突然終わります。震の動きは来るのも急なら、収まるのも急です。
二つの周期の三運は、形が少し違います。前回の「震」は上から下へ(雍正帝が皇帝の権力で改革を押し通した)、今回の「震」は下から上へ(革命と学生運動)。それでも共通点ははっきりしています。どちらも最短の時間で、動かせないと思われていた決まりをひっくり返したことです。ここからも、三元九運を予言の表として使えないことが分かります。与えてくれるのは気の性質(急で、激しく、ある力が突き破る)であって、出来事の中身(誰が誰を、どこへ)ではありません。中身は人がつくるものです。
三運で追い風を受けるもの、退いていくもの
当運の五行は木です。木の性質に合う業種ややり方は少ない力で進み、反対の方向は同じ成果を得るのに余計な力が要ります。
当運で勢いを得るもの
- あらゆる「新しいもの」:新技術、新メディア、新組織、新思潮
- 若者と学生の力、社会運動、市民団体
- 交通と運輸:鉄道、自動車、航空
- 声にかかわる仕事:放送、演説、世論
- 木の性質の仕事:教育、出版、成長型の事業
相対的に退くもの
- 血筋や年功で保たれてきた古い権威(三運はここを崩す)
- 重く動かない体制――反応が遅ければ突き倒される
- 控えめで回りくどいやり方は、震の運では弱さと受け取られがち
- 安定に強く依存する業種――三運は想定外の出来事に事欠かない
あなたの命式と三運
三運は木の運です。命式で木を喜ぶ人(水が多く木で漏らしたい命式や、日干が弱く印星の助けが要る命式に多い)にとって、この二十年のリズムはよく合います。新しいことを始めたい、方向を変えたい、考えを行動に移したい――そんな気持ちを環境がちょうど後押ししてくれます。木を忌む人(土の日干で木に剋されすぎる命式や、すでに散漫で引き締めが必要な命式など)は、震の運で二つのことに注意が必要です。性急さと口論・トラブルです。三碧にはもともと「是非星」という呼び名があり、勢いで下した決断や口をついて出た言葉が、この時期は大ごとになりやすいのです。
震は足、動きを表します。四柱推命でいえば食傷(食神・傷官=表現と行動)や偏官(七殺=突進力)の系統の力にあたります。こうした構成の人は三運で「ようやく力を出せる場所ができた」と感じ、反対に偏印が重く守り型の命式の人は、この二十年を騒がしく感じるでしょう。どちらも命の良し悪しではなく、体質と気候が合うかどうかの違いにすぎません。
正直なひとこと:照合は因果ではありません
上のリストは後から整理したものです。歴史上の出来事にはそれぞれ明確な政治・経済・技術の原因があり、「三運に入ったから」起きたわけではありません。どの二十年にも、ある卦象に合う大事件は見つかります。違いは、合うものが記憶され、合わないものが忘れられることだけです。
それでも読む価値があるのはなぜか。三元九運が役に立つ単位を与えてくれるからです。二十年は、ひとつのやり方が芽生え、定着し、やがて通用しなくなるまでの長さにちょうど重なります。三運を「その時代に何がいちばん少ない力で済んだか」を映す鏡として使えば、占いとして使うよりずっと役に立ちます。当サイトの内容は参考・娯楽を目的としたものです。
あなたの命式は木を喜ぶか、忌むか
時代がどの運にあるかは、誰にとっても共通の背景です。実際に順調かどうかを決めるのは、あなた自身の五行の喜忌と大運。まず命式を出して、日干の強弱と用神・喜神を確かめてください。
三運(震木)のよくある質問
三運は何年から何年までですか?
今回の三元九運の周期では、三運は西暦1904年から1923年までで、区切りは立春です。前回の三運は1724〜1743年でした。三運は上元の最後の運で、これが終わると1924年から中元の四運に入ります。
三運が「革命の運」といわれるのはなぜですか?
卦象からの推論です。三運には震卦が配され、震は雷、動、長男で、下から上へ突然噴き出す力を象徴します。今回の三運(1904〜1923年)と照らすと、確かに人類史上もっとも帝政の崩壊が集中した二十年でした。清、ロシア、オーストリア=ハンガリー、オスマンの各帝国がこの間に終わり、さらに第一次世界大戦、五四運動、関東大震災が重なります。ただしこれは後からの照合で、予言の的中ではありません。三元九運が示すのは「気の性質」であって、出来事そのものではないのです。
三碧は「是非星」なのですか?
伝統的にはそう呼ばれることがあり、震木の落ち着きのなさ、声の大きさ、口論や訴訟ごとが起きやすい面を指しています。ただしこの呼び方は主に玄空飛星で方位の吉凶(ある方位がある期間にどう影響するか)を論じるときのもので、三元九運で時代の気候を論じるのとは別の道具です。三運そのものの核となる性格は「生まれ出る力と衝突」で、単なる凶星ではありません。
命式が木を忌む人は、三運でどうなりますか?
よくあるのは、外のリズムが速すぎて一緒に走らされ、走るたびに消耗していく感覚です。そんなときは速さを競うより、金で整える(ルール、規律、境界をつくる)、火で漏らす(勢いを正面衝突ではなく表現や成果に変える)ほうが得策です。加えて、口と感情の管理には特に気をつけてください。三運の環境は、小さな摩擦を大ごとに広げやすいのです。