七運・七赤金星 兌金(1984〜2003):話すことが商売になった
七運には七赤金星(中国式の星名は破軍)が配され、卦は兌(だ)、五行は金、方位は西です。兌の象は口、悦び、少女――話し、笑い、喜ばせ、交換すること。六運の金が刀剣なら、七運の金はお金と歌声です。今回の七運は1984年(昭和59年)〜2003年(平成15年)。この二十年、台湾では何が起きたでしょうか。戒厳令の解除、大陸への親族訪問の解禁、ケーブルテレビ、テレビの評論家、カラオケ(KTV)、香港の「四大天王」、株価の1万2千ポイント突破、総統直接選挙。すべて「口」にかかわることです。話せるようになり、聞く人がいて、しかも話すことがお金に換わり始めたのです。
- 九星
- 七赤金星(破軍)
- 卦
- 兌
- 五行
- 金
- 方位
- 西
- 人物の象
- 少女
- 今回の周期
- 1984–2003前回 1804–1823
この運の気:「兌」とは何か
兌卦は上に一本の陰、下に二本の陽――外は柔らかく、内は剛い形です。長所は喜び、コミュニケーション、人を集めることで、短所は口論、トラブル、誇張、そして破軍の「壊してから立てる」消耗です。七赤(破軍)は伝統的に口論や訴訟、盗難を司るとされ、表はにぎやかで中は消耗しやすい気を指しています。
兌は少女、口、沢、毀折(こわれる)を表します。人事ではメディア、芸能、飲食、弁護士、営業、金融取引――「話す、売る、喜ばせる」ことで成り立つ仕事全般を司ります。七運が当令の時代にもっとも目立つ社会の特徴は、多くの場合言論の爆発、娯楽の隆盛、そして感情に押される資産価格です。
1984〜2003年:この二十年に起きたこと
この二十年、台湾の人々は初めて大きな声で話せるようになり、世界のお金も初めてモノより速く動くようになりました。にぎわいとバブルは、同じことの表と裏です。
- 1984中英共同声明の調印、ロサンゼルス五輪
香港の未来が一枚の声明で決まり、五輪は初めて利益を生む娯楽商品として運営されました。
- 1987台湾で戒厳令解除、大陸への親族訪問を解禁
三十八年に及んだ沈黙が終わりました。兌は口――七運の最初の大事件は「話せるようになった」ことです。
- 1989ベルリンの壁崩壊、天安門事件
壁は人々の手で押し倒され、同じ年、天安門広場でも人々が声を上げました。この運の主役は、集まって声を出す群衆です。
- 1990台湾株が2月に1万2千ポイント超の史上最高値
国じゅうが株に熱狂し、市場の八百屋でも銘柄の噂が飛び交いました。兌は悦び、そして金。この運では感情と資産が固く結びつきます。日本でも前年末に日経平均が史上最高値をつけ、この年からバブル崩壊が始まっています。
- 1991ソ連崩壊、湾岸戦争をCNNが世界に生中継
人類が初めて、居間に座って戦争の生中継を見ました。メディアが戦場の一部になったのです。
- 1993台湾でケーブルテレビが合法化
「第四台」と呼ばれた違法ケーブル局が表舞台に出て、百のチャンネルが一斉に語り始めました。評論家、トーク番組、通販番組の黄金時代の始まりです。
- 1996台湾初の総統直接選挙
選ぶ権利が一票一票に託されました。投票もまた一つの「口」です。
- 1997香港返還、アジア通貨危機
熱いお金は来るのも速く、去るのはもっと速い。東アジア一帯の資産が一度洗い流されました。
- 1999台湾で921大地震、ユーロ誕生
台湾は戦後最悪の震災を経験し、欧州は十数種類の通貨を一つにまとめました。
- 2000台湾で初の政権交代、ITバブル崩壊
二つの出来事が七運の性格を同時に物語っています。いちばん耳に心地よく語った側が勝つが、語りすぎた側は転ぶのです。
- 2001アメリカ同時多発テロ、中国がWTOに加盟
グローバル化の恐怖とグローバル化の恩恵が、同じ年に並べられました。
- 2003SARSの流行
七運は感染症のなかで幕を閉じ、人と人との接触が初めて大規模に止められました。これは次の運である艮(止まる)の予告でもありました。
一周期さかのぼる:1804〜1823年の同じ運
三元九運は180年で一巡するため、前回の七運は1804〜1823年でした。二つの周期を並べると、テーマの重なりはかなりはっきりしています。
前回の七運:1804〜1823年一つ前の180年周期
- 1804 ナポレオンが皇帝に即位――将軍から皇帝へ。戦功だけでなく、国民投票と戴冠式という演出も使われました。イメージと説得がこれほど活用されたのは初めてです。
- 1814–15 ウィーン会議――欧州の版図は戦場ではなく交渉の席で決まりました。兌は口、もっとも典型的な「口の時代」です。
- 1815 タンボラ火山が噴火し、翌年は「夏のない年」に――気候の異常が欧米に大飢饉をもたらし、十九世紀最悪級の自然災害の一つになりました。
- 1810 年代–1820 年代 ラテンアメリカの独立の波、1823年にモンロー宣言――一通の宣言がアメリカ大陸の勢力圏を定め、その後百年にわたって効力を持ちました。
二つの周期の七運は、同じところで真価が問われています。口の力です。ウィーン会議は交渉で欧州を描き直し、モンロー宣言は一枚の声明で地球の半分を囲い込みました。1987年に台湾の戒厳令解除で人々が口を開き、1993年にはケーブルテレビで百のチャンネルが一斉に語り始めました。兌卦のもっとも正直な面は、真実も嘘も、耳に心地よくさえあれば同じように報われることです。七運が残した資産は言論の自由と娯楽産業、残した請求書はバブルと口論で、この二つはいつも一緒にやってきます。
七運で追い風を受けるもの、退いていくもの
当運の五行は金です。金の性質に合う業種ややり方は少ない力で進み、反対の方向は同じ成果を得るのに余計な力が要ります。
当運で勢いを得るもの
- メディア、芸能、音楽、娯楽、コンテンツ産業
- 金融と取引:株式、為替、投資銀行
- 口で生計を立てる専門職:弁護士、営業、司会、講師
- 飲食とサービス業――兌は口、食べることも口
- 女性と若い世代の発言力(兌は少女)
相対的に退くもの
- 寡黙な技術者は、口のうまい人に取って代わられやすい
- 閉じた情報の独占は、言論が爆発する時代には守りきれない
- イメージやコミュニケーションを軽視する伝統産業
- 七赤は破軍――過度なレバレッジと投機はもっとも大きく転ぶ
あなたの命式と七運
七運も金の運ですが、六運の乾金とはまったく調子が違います。乾金は刀、兌金はお金と歌です。命式で金を喜ぶ人は、七運では権威の路線ではなく、表現、取引、人柄で進む路線が向いています。命式に食傷生財(食神・傷官が財を生む)のよい構成がある人にとって、この二十年はほとんど自分のために開かれたようなものです。実力があり、しかも話せて売れるのですから。
金を忌む人は、兌の二つの落とし穴、口論と浪費に気をつけてください。七赤(破軍)の消耗は奪われることではなく、自分で使い、しゃべり、遊んで減らすことです。そんなときに必要なのは、火で鍛える(表現を口先のにぎわいで終わらせず、本物の専門的な作品に変える)ことと、土で収める(稼いだものを積み上がる資産に換える)ことです。ひとことで言えば、七運は稼ぎやすく、残しにくいのです。
正直なひとこと:照合は因果ではありません
上のリストは後から整理したものです。歴史上の出来事にはそれぞれ明確な政治・経済・技術の原因があり、「七運に入ったから」起きたわけではありません。どの二十年にも、ある卦象に合う大事件は見つかります。違いは、合うものが記憶され、合わないものが忘れられることだけです。
それでも読む価値があるのはなぜか。三元九運が役に立つ単位を与えてくれるからです。二十年は、ひとつのやり方が芽生え、定着し、やがて通用しなくなるまでの長さにちょうど重なります。七運を「その時代に何がいちばん少ない力で済んだか」を映す鏡として使えば、占いとして使うよりずっと役に立ちます。当サイトの内容は参考・娯楽を目的としたものです。
あなたの命式は金を喜ぶか、忌むか
時代がどの運にあるかは、誰にとっても共通の背景です。実際に順調かどうかを決めるのは、あなた自身の五行の喜忌と大運。まず命式を出して、日干の強弱と用神・喜神を確かめてください。
七運(兌金)のよくある質問
七運は何年から何年までですか?
今回の三元九運の周期では、七運は西暦1984年から2003年までで、区切りは立春です。前回の七運は1804〜1823年でした。七運は下元の最初の運で、六運(1964〜1983年)と八運(2004〜2023年)のあいだにあたります。
七赤(破軍)はなぜ娯楽や話術と関係が深いのですか?
七赤には兌卦が配され、兌の卦象はまさに「口」と「悦び」です。話す、笑う、喜ばせる、交換する。人物の象は少女です。ですから話す、売る、喜ばせることで成り立つ仕事はすべて兌の管轄で、メディア、芸能、飲食、弁護士、営業、金融取引がそれにあたります。今回の七運(1984〜2003年)と照らすと、台湾はちょうど戒厳令解除、ケーブルテレビ解禁、評論家やトーク番組の台頭、カラオケやポップスの全盛、そして株価の暴騰を経験しており、対照はかなり鮮やかです。日本の九星気学でも七赤金星は「口・悦び・金銭」の星とされますが、使い方は異なります。
七運も六運も金なのに、どこが違うのですか?
乾金は陽の剛い金で、刀剣、機械、権威、国家的事業を象徴し、上から下への号令で動きます。兌金は陰の柔らかい金で、お金、歌声、話術、交換を象徴し、人と人との説得と取引で動きます。簡単に言えば、六運は誰が決めるか、七運は誰がうまく話すかの時代です。
七赤(破軍)は凶星ですか?
伝統的には七赤は口論や訴訟、消耗、盗難を司るとされ、凶のように聞こえますが、これは主に玄空飛星で方位の吉凶を論じるときの話です。時代の物差しで見ると、七運の性格は「にぎやかで消耗しやすい」こと。言論が爆発し、娯楽が隆盛し、資産が感情に押され、稼ぐのも速ければ散るのも速い。今回の七運は言論の自由と娯楽産業を残す一方で、アジア通貨危機とITバブルも残しました。どちらも同じ気の二つの顔です。