六運・六白金星 乾金(1964〜1983):強い指導者が決めた二十年
六運には六白金星(中国式の星名は武曲)が配され、卦は乾(けん)、五行は金、方位は北西です。乾は六爻すべてが陽で、天であり、君主であり、父です。剛健で、主宰し、決める者。今回の六運は1964年(昭和39年)〜1983年(昭和58年)。この二十年の世界の舞台に立っていた顔ぶれを思い出してください。毛沢東、蔣介石、ド・ゴール、ブレジネフ、キッシンジャー、サッチャー、レーガン。強い指導者と国家の意志が主導した時代であり、そのもっとも華やかな成果が、人間を月に送り届けたことでした。
- 九星
- 六白金星(武曲)
- 卦
- 乾
- 五行
- 金
- 方位
- 北西
- 人物の象
- 老父
- 今回の周期
- 1964–1983前回 1784–1803
この運の気:「乾」とは何か
乾卦は「天行は健なり、君子もって自彊して息まず」。その気は硬く、まっすぐで、上へ向かい、あいまいさを許しません。乾の金は装身具の柔らかい金ではなく、刀剣や機械の剛い金です。ですから六運が当令のときに評価されるのは規律、権威、規模、実行力で、評価されないのはあいまいさ、回りくどさ、個人のささやかな感傷です。
乾は老父、頭、円、寒冰、大赤を表します。人事では国家、軍隊、大企業、指導者、金属と機械、そして「上から下へ」のあらゆる秩序を司ります。六白(武曲)は伝統的に武官の職と財を司るとされ、果断で新天地を切り開く力を指します。六運の典型的な場面は、一人が決断し、一国が動き、百年規模の工事が始まることです。
1964〜1983年:この二十年に起きたこと
この二十年、人類は月へ行き、金本位の名残を取り払い、数えきれないほどの国家的事業を築き、半世紀を主宰した強い指導者たちを見送りました。
- 1964東京オリンピック開催、台湾で石門ダム完成
戦後アジアの二枚の成績表は、どちらも国家的事業でした。東京五輪に合わせて東海道新幹線も開業しています。
- 1966台湾で高雄輸出加工区が設置、中国で文化大革命が始まる
同じ年、海峡の一方は輸出で稼ぎ始め、もう一方は自らを壊し始めました。
- 1969アポロ11号の月面着陸
乾は天。人類史上もっとも文字どおりの「天に昇る」出来事が、乾金の運で起きました。
- 1971ニクソン・ショック(金とドルの交換停止)、中華民国が国連を脱退
ドルと金が切り離され、ブレトン・ウッズ体制が崩れます。六運は金の運で、この年、金のルールが自らの手で取り壊されました。
- 1972ニクソン大統領の訪中
二人の強い指導者が握手し、冷戦の構図が一夜にして組み替わりました。こうした「一人が天下を定める」場面は六運の定番です。同じ年には日中国交正常化も実現しています。
- 1973第一次石油危機、台湾が十大建設を発表
エネルギーが武器になり、台湾は高速道路、鉄道電化、中国鋼鉄、中国造船で応えました。鉄鋼も造船も金です。
- 1975蔣介石死去
台湾を三十年近く主導した強い指導者が退場しました。
- 1976毛沢東死去、文化大革命の終結
さらに長く君臨した強い指導者の退場です。乾は老父、父が去れば局面が変わります。
- 1978中国が改革開放を宣言
一つの決定が、その後四十年の世界の製造業の地図を書き換えました。
- 1979台湾とアメリカの断交、美麗島事件、サッチャーが英首相に就任
古い秩序が緩み、新しい強い指導者が登場する。同じ年に、別々の場所で起きたことです。美麗島事件は、台湾の民主化運動の転機となった事件です。
- 1980新竹サイエンスパーク設立
台湾は次の三十年の国運を半導体に賭けました。金の運でまかれた種は、次の金の運(七運)で実を結んだのです。
- 1981IBMがパーソナルコンピューターを発売
六運は一台の機械で幕を閉じます。権力はやがて国家の手から、少しずつ個人の机の上へ流れていきます。
一周期さかのぼる:1784〜1803年の同じ運
三元九運は180年で一巡するため、前回の六運は1784〜1803年でした。二つの周期を並べると、テーマの重なりはかなりはっきりしています。
前回の六運:1784〜1803年一つ前の180年周期
- 1789 フランス革命勃発、1793年にルイ16世が断頭台へ――乾は君主。そしてこの運では、君主が自らの民によって断頭台に送られました。乾金の二つの顔が一つの出来事に現れています。
- 1793 マカートニー使節団が訪中し、乾隆帝は「天朝は物産豊かで、何でもある」と答える――「天朝」という二文字こそ乾の自己認識です。二十年後の七運で、この自信は崩れ始めます。
- 1796–1804 清で白蓮教徒の乱――盛世の軍費と官僚制がここで食いつぶされ、王朝が盛から衰へ転じる分岐点になりました。
- 1799 ナポレオンがブリュメールのクーデター――古い君主は首をはねられ、新しい君主が軍隊のなかから現れました。乾金に「強い指導者」が絶えることはなく、顔ぶれが替わるだけです。
二つの周期の六運を並べると、乾卦のもっとも深い教訓が見えてきます。乾は君主だが、乾の運は君主の安泰を約束しない。ただ「権威」という問題を舞台の中央に押し出すだけなのです。1793年にルイ16世が処刑され、1799年にナポレオンが台頭する。1975年と1976年に蔣介石と毛沢東が相次いで世を去り、1979年から1980年にかけてサッチャーの就任とレーガンの当選が続く。強い指導者の登場も退場も、同じ気の表れです。三元九運を読むときにもっとも誤りやすいのもここで、当運の象は大きく拡大されるが、拡大されるのは「テーマ」であって「結果」ではないのです。
六運で追い風を受けるもの、退いていくもの
当運の五行は金です。金の性質に合う業種ややり方は少ない力で進み、反対の方向は同じ成果を得るのに余計な力が要ります。
当運で勢いを得るもの
- 国家的事業と重工業:鉄鋼、造船、機械、エネルギー
- 軍・警察、公務、大組織の管理職
- 金融と金・貴金属、精密製造
- リーダー型・決断型の役割――六運は決断できる人を評価する
- 規模の経済:大きく、硬く、長持ちするものがこの運でもっとも価値を持つ
相対的に退くもの
- 柔らかく感性的なやり方は、剛い時代には目に留まりにくい
- 少数向け、個性派、自由を重んじる商売
- 従わない人――乾の運は階層と号令の運
- 規模を持たない個人事業は、大組織に押しつぶされやすい
あなたの命式と六運
六運は金の運で、しかも陽の剛い金です。命式で金を喜ぶ人(土が厚く金で秀気を漏らしたい命式や、水が弱く金の助けが要る命式に多い)は、六運で権威の体系に受け入れられやすくなります。昇進、権限、資源の獲得です。とくに官殺に力があり、しかも身強の命式の人にとって、この二十年の環境はあつらえたようなものです。
金を忌む人(木の日干で金の剋が重すぎる命式や、火や木を必要とする命式など)は、乾金の運ではっきりとした「押さえつけられ感」を覚えます。規則が厳しくなり、上が決め、自分の柔軟さを生かす場所がない。対処法は火です。表現力、専門性、目に見える成果で「金を鍛え」、硬い規則を自分の舞台に変えるのです。さらに水で金を漏らし、剛い環境が自分を通過したあとには流通する資源になるようにして、直接自分の上に落ちてこないようにします。
正直なひとこと:照合は因果ではありません
上のリストは後から整理したものです。歴史上の出来事にはそれぞれ明確な政治・経済・技術の原因があり、「六運に入ったから」起きたわけではありません。どの二十年にも、ある卦象に合う大事件は見つかります。違いは、合うものが記憶され、合わないものが忘れられることだけです。
それでも読む価値があるのはなぜか。三元九運が役に立つ単位を与えてくれるからです。二十年は、ひとつのやり方が芽生え、定着し、やがて通用しなくなるまでの長さにちょうど重なります。六運を「その時代に何がいちばん少ない力で済んだか」を映す鏡として使えば、占いとして使うよりずっと役に立ちます。当サイトの内容は参考・娯楽を目的としたものです。
あなたの命式は金を喜ぶか、忌むか
時代がどの運にあるかは、誰にとっても共通の背景です。実際に順調かどうかを決めるのは、あなた自身の五行の喜忌と大運。まず命式を出して、日干の強弱と用神・喜神を確かめてください。
六運(乾金)のよくある質問
六運は何年から何年までですか?
今回の三元九運の周期では、六運は西暦1964年から1983年までで、区切りは立春です。前回の六運は1784〜1803年でした。六運は中元の最後の運で、これが終わると1984年から下元の七運に入ります。
六白(武曲)は何を表しますか?
六白には乾卦が配され、五行は金、方位は北西です。乾は天、君主、父で、権威、剛健、大きな構えを象徴します。武曲は武官の職、決断、財を司り、果断で新天地を切り開く性質を取ったものです。時代の物差しでは、六運が当令の時代は強い指導者と国家の意志が主導し、大規模な事業、重工業、金属や機械が特に発達します。なお日本の九星気学でも六白金星は「天・父・権威」の星とされますが、使い方は異なります。
なぜ月面着陸が六運の代表的な出来事とされるのですか?
乾卦の第一の象が「天」だからです。1969年のアポロ11号の月面着陸は、人類史上もっとも文字どおりの「天に昇る」出来事で、しかも典型的な六運の産物でした。国家の意志が推し進め、数十万人を動員し、天文学的な予算を投じ、上から下への階層組織によって成し遂げられたのです。同じ運には台湾の十大建設、中国鋼鉄、中国造船もあり、どれも「国を挙げて大きなものをつくる」という同じ形をしています。
命式が金を忌む人は、六運でどう調整すればいいですか?
乾金の運の環境は硬く、階層がはっきりし、規則が多く、上が決めます。金を忌む人が陥りやすいのは、自分の柔軟さを生かす場所がないと感じることです。正面からぶつかるより、火を使いましょう。「目に見える成果」に力を注ぎ、専門性と表現力で発言力を得るのです(火は金を鍛えます)。さらに水で漏らし、自分の流動性と退路を保って、一つの階層組織に全財産を縛りつけないようにします。